2012 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブのナノキラル構造を活用した新しい電磁波吸収材料の開拓
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24656079
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 剛 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30436159)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 複合材料 / セラミックス / 電磁波吸収特性 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(MWCNT)のキラル構造を活用した新しい電磁波吸収体を創製することを目的として、MWCNTとアルミナからなるMWCNT/アルミナ複合体を作製し電磁波吸収特性の評価を行った。以下に研究目的を達成するために設定した各研究課題における成果の概要を記載する。 研究(1)MWCNTの電磁波吸収材料用新素として可能性を明らかにする:常圧焼成法によるMWCNT/アルミナ複合体の作製に成功したことで開発が求められているGHzの周波数帯域における電磁波吸収特性の定量評価が初めて可能となった。電磁波吸収特性の評価に供した複合体の直径ならびに厚みなそれぞれ約100 mmと1.0 mmである。1.9 vol.%のMWCNTを配向して作製した複合体の電磁波吸収率は、測定周波数が高くなるにしたがい向上し、特に4~30 GHzの周波数帯域において良好な電磁波吸収特性を有しており、その電磁吸収率は97%程度であった。一方、MWCNT未添加のアルミナ焼結体は当該周波数帯域において顕著な電磁波吸収特性は認められなかった。これからのことから、本研究で使用した実験条件においては、MWCNTは特異な電磁波吸収特性を有していること示されたと言えよう。 研究(2)優れた電磁波吸収特性の得られるナノキラル構造の決定と機能発現メカニズムの解明(設計):MWCNTの直径寸法、すなわちキラル指数の異なるMWCNTを出発原料に使用し作製した複合体の電磁波吸収特性の評価を行った。試作を行った2種類の複合体においては、電磁波吸収率と測定周波数との間に大きな差異は認められず、MWCNTの直径寸法は、複合体の電磁波吸収率に大きな影響を及ぼさないことが示された。今後、試作を行った複合体の機能発現メカニズムを検討するために必要な誘電率、透磁率の測定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成24年度の研究実施計画に対して、研究実績の概要で記載した成果を挙げることができており、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行する上で特に大きな問題点は無い。したがって、平成25年度も研究計画を変更することなく、研究計画調書に記載した3つのプロジェクトを研究スケジュールに沿って遂行をしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額149,654円は、24年度執行済みの4月支払分であり実際には次年度使用額は生じない。
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Research Products
(1 results)