2013 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブのナノキラル構造を活用した新しい電磁波吸収材料の開拓
Project/Area Number |
24656079
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 剛 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30436159)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 複合材料 / セラミックス / 電磁波吸収特性 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(MWCNT)のナノキラル構造を活用した新しい電磁波吸収材料創製の可能性を明らかにすることを主目的として,異なる結晶構造ならびに直径寸法を有するMWCNTを配合したアルミナ複合材料の作製とその電磁波吸収特性の評価を行った.以下に成果の概要を記載する. 常圧焼成法を用いることで開発が求められている1~50GHz周波数帯域において電磁波吸収特性の定量的評価が可能な直径100 mmを有するMWCNT/セラミックス複合材料の作製に成功した.得られた大型複合材料を活用することにより,約1.9 vol.%のMWCNTを配合したMWCNT/アルミナ複合材料を対象として近傍界タイプ伝搬減衰パワーレシオ測定法を用いて電波吸収性能の評価を行った.その結果,MWCNT未添加のアルミナ焼結体は,評価対象とした0.1~18 GHzの周波数帯域において顕著な電磁波吸収特性が認められなかったことに対して,試作を行ったいずれの複合材料においても周波数が高くなるに伴い電磁波吸収率は向上し,4~30 GHzにおいては95%程度の優れた電磁波吸収特性を有していることがわかった.これは,MWCNT/セラミック複合材料を対象として電波吸収性能特性を評価した世界初の報告であり,MWCNTは電磁波吸収材料の新素材としての可能性を有していることを示唆するものである.加えて,結晶性の高い,すなわち炭素六角網面の発達した構造を有するMWCNTを用いた複合材料に高い電磁波吸収特性が認められた.特に,その差異は0.1~10 GHz帯域で顕著であった.一方,本研究で比較を行った50 nmと70 nmの平均直径寸法を有するMWCNTを配合した複合材料の間に顕著な電磁波吸収特性の際は認められなかった.本研究で作製したMWCNT/アルミナ複合材料は,MWCNT未添加のアルミナ焼結体の機械的特性(曲げ強度と破壊靭性値)に比べて大きかったことからも,電磁波吸収特性と機械的特性とを兼ね備えた新しい電磁波吸収材料創製の可能性が示されたと言えよう.
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Research Products
(2 results)