2012 Fiscal Year Research-status Report
微視的その場観察による接着接合材の苛酷湿潤環境下における疲労劣化損傷機構の解明
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24656090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菅田 淳 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60162913)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 疲労 / 接着接合 / き裂進展 / 微視的観察 / 損傷機構 / 劣化現象 / 寿命評価 / 硬度 |
Research Abstract |
接着接合材疲労試験片を作製し,疲労試験の実施準備を行った.従来の薄板材のスポット溶接材やレーザー溶接材と同様に,接着接合材は接合端面において, 応力特異性を示すため接着面積の大小の影響を見極める必要が生じた.そのため,疲労試験片作成に先立って,特異応力場解析を行った.その結果,接着面端部において極度の応力集中が生じ,接着層の内自由表面近傍の一部のみが荷重分担することが明らかとなった.この結果,接着剤自由表面ならびに接着面積の形状が重要な因子になるため,バラツキの少ない疲労試験片作成のための手順の確立に予想外の時間が掛かってしまったが,本年度中にほぼ確立された. 微視的その場観察の高精度化のためのレーザー変形を利用した変位制御システムの構築は予定通り終了した.一方,吸水劣化槽については,樹脂を浸けただけでは不十分であることがわかり,撹拌装置等の設置が必要であるため完成には至っていない. 局所変形定量化システムの高分解能化については,従来金属材料に対して有用であった既存システムの改良により,樹脂材料についてもその荷重負荷に伴う変形量をより正確に測定する手法がほぼ確立された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に示したように,当初の計画通り進展しない点がある.計画通りに進捗しなかった項目は以下の通りである. ①疲労試験片の作成において,従来の薄板材のスポット溶接材やレーザー溶接材と同様に,接着接合材は接合端面において, 応力特異性を示すため接着面積の大小の影響を見極める必要が生じた.そのため,疲労試験片作成に先立って,特異応力場解析を行った.その結果,接着面端部において極度の応力集中が生じ,接着層の内自由表面近傍の一部のみが荷重分担することが明らかとなった.この結果,接着剤自由表面ならびに接着面積の形状が重要な因子になるため,バラツキの少ない疲労試験片作成のための手順の確立に予想外の時間が掛かってしまった.その結果,本年度は疲労強度特性を取得するところまで行えなかった. ②吸水劣化状態をその場観察するための原子力顕微鏡付属吸水劣化槽については,樹脂を浸けただけでは不十分であることがわかり,撹拌装置等の設置が必要であるため完成には至っていない. その他の項目はほぼ予定通り進捗しており,微視的その場観察の高精度化のためのレーザー変形を利用した変位制御システムの構築は予定通り終了した.また,局所変形定量化システムの高分解能化については,従来金属材料に対して有用であった既存システムの改良により,樹脂材料についてもその荷重負荷に伴う変形量をより正確に測定する手法がほぼ確立された
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Strategy for Future Research Activity |
本年度により,吸水劣化槽以外の項目については完成しており,今後,まず,乾燥状態でのバルク名疲労特性を取得する.それに併せて,荷重負荷状態での疲労き裂進展近傍変形場を原子間力顕微鏡で観察し,乾燥下での接着樹脂材料の疲労損傷機構の解明を目指す.その後,吸水劣化させた樹脂接着材料における疲労試験を実施し,吸水による接着強度の劣化を定量的に評価する.吸水状態は試験片毎のバラツキが大きいと予測されるので,統計的な処理を行うとともに,局所硬度測定により劣化状態の定量的評価を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
改良を行った高分解能局所変形定量化システムに対して,実時間での解析を実施可能とするため画像解析用高速コンピュータを購入し,高速化を目指す.初年度達成できなかった吸水劣化槽について撹拌装置等の付属装置を購入し設置することで,環境の均質化を目指す.原子間力顕微鏡による微視的観察のための消耗品ならび破面観察のための走査型電子顕微鏡用消耗品の購入を行う.その他,研究成果の発表を国内外で行う予定である.
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