2013 Fiscal Year Research-status Report
微視的その場観察による接着接合材の苛酷湿潤環境下における疲労劣化損傷機構の解明
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24656090
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菅田 淳 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60162913)
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Keywords | 疲労 / 接着接合 / き裂進展 / 微視的観察 / 損傷機構 / 劣化現象 / 寿命評価 / 硬度 |
Research Abstract |
接着接合材の基礎的疲労強度特性を取得するために,エポキシ系樹脂を用いた薄板接合疲労試験片を作製し,基礎的疲労強度データの取得を行った.その場観察用の吸水劣化槽の性能が予定のレベルに達しなかったため,適宜吸水劣化させた接着接合材の疲労強度特性を取得し,温度ならびに時間の上昇とともにバルクの疲労強度が低下することが明らかとなった. 一方,実験を行っいく過程において吸水劣化の程度についての問題が生じた.水環境温度は実環境以上に上昇させることは可能で有り,加速試験は行える.しかしながら,加速試験の妥当性についての疑義が生じたため,自動車技術会の委員会と共同で実機における劣化状態の調査を本研究の計画に取り込むこととした.5年ならびに10年経過した廃車の接着部から試験片を作製し強度低下割合を調べるとともに赤外線吸収スペクトル(IR)測定を行い,エポキシ樹脂の加水分解程度の定量的測定を行った.この調査により,加水分解割合と強度低下はある程度関連性があるともに,実機の劣化状態レベルが判明し,劣化材作成の指針が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に示したように,当初の計画通り進展しない点がある.計画通りに進捗しなかった項目は吸水劣化状態をその場観察するための原子力顕微鏡付属吸水劣化槽についてである.樹脂を浸けただけでは不十分であることがわかり,撹拌装置等の設置が必要であるため吸水性能が所定のレベルに達していない. その他の項目はほぼ予定通り進捗しており,微視的その場観察の高精度化のためのレーザー変形を利用した変位制御システムの構築は予定通り終了した.また,局所変形定量化システムの高分解能化については,従来金属材料に対して有用であった既存システムの改良により,樹脂材料についてもその荷重負荷に伴う変形量をより正確に測定する手法がほぼ確立された 一方,模擬吸水状態の妥当性を検討するために,当初の予定になかった実機における劣化状態の調査を行った.その結果により実機の劣化状態レベルが判明し,劣化材作成の指針が得られており,試験条件に関しての進捗状況は十分である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度により,吸水劣化槽以外の項目については完成しており,また,実機相当の環境状態を実現するための指針も得られているので,強制湿潤化状態でのバルク名疲労特性を取得する.それに併せて,荷重負荷状態での疲労き裂進展近傍変形場を原子間力顕微鏡で観察し,接着樹脂材料の疲労損傷機構の解明を目指す.吸水状態は試験片毎のバラツキが大きいと予測されるので,赤外線吸収スペクトル(IR)測定を用いてそれぞれの試験片の加水分解割合と局所硬度測定により劣化状態の定量的評価を行った上で,疲労強度・機構の統計的な処理を行うことで,劣化の影響を明確にする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を予定していた物品の納期が遅れたため,次年度の購入としたため次年度使用額が生じた. 購入予定の物品を購入するともに,疲労試験片の作成や治具の作成を行う.
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