2012 Fiscal Year Research-status Report
原子レベルで平坦な表面を達成する大面積基板対応プラズマ研磨プロセスの検証
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24656092
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高桑 雄二 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20154768)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光電子制御プラズマ / ドライ研磨 / 平坦化 / ラングミュアプローブ |
Research Abstract |
(1)ラングミュアプローブを用いたイオンエネルギー計測手法の開発 イオンを用いた平坦化プロセスではイオンエネルギーを計測することが最も重要である。本研究ではイオンエネルギーを計測する手法としてプラズマポテンシャルからイオンエネルギーの算出を試みた。プラズマポテンシャルを測定するためにラングミュアプローブを製作した。光電子制御プラズマのバイアス電圧を150V(光電子制御タウンゼント放電)および200 V(グロー放電)に固定し、プラズマポテンシャルの場所依存を測定した。グロー放電では陰極近傍にイオンシースが形成され、イオンシース以外の場所は一定のポテンシャルとなった。一方でタウンゼント放電の場合、プラズマポテンシャルは全範囲に渡り勾配をもつことが明らかとなった。プラズマポテンシャルの勾配があるところでイオンが加速され、中性気体分子との衝突でイオンがエネルギーを失うと考えてイオンエネルギーの計算を行った。その結果、グロー放電ではイオンは約9 eVのエネルギーを持つのに対し、光電子制御タウンゼント放電では約0.3 eVのエネルギーであることが分かった。 (2)半球型イオンエネルギー分析器付き光電子制御プラズマ装置の開発 プラズマポテンシャルからイオンエネルギーを求める手法は単一ガス中でのみ利用可能である。原子スケールでの平坦化を目指した場合、混合ガスを利用する可能性もあるが、混合ガスではプラズマポテンシャルからのイオンエネルギー測定は難しい。そのためエネルギーを直接求める分析器が必要とされる。本年はエネルギー分析器とCVD装置を組み合わせるための改良を行った。装置は概ね完成し、CVD装置でプラズマを生成できることを確認した。今後はエネルギー分析器を動作させるためのプログラム開発を行い、プラズマ中のイオンエネルギーを直接計測する手法の開発を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は光電子制御プラズマのイオンエネルギー測定を行うことを最大の目標としていた。イオンエネルギーを測定する半球型エネルギー分析器はまだ稼働していないものの、プラズマポテンシャルからイオンエネルギーを求める手法を開発できたことによりイオンエネルギーを算出することができた。これによりグロー放電プラズマと光電子制御タウンゼント放電プラズマにおけるイオンエネルギーに大きな違いがあることを確認できた。そのため、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度でプラズマの生成条件とイオンエネルギーの相関が求まった。次年度ではAu蒸着Si基板およびCu蒸着Si基板を用いて、イオンエネルギーと基板平坦化効果の相関について調べる。本年度ではArプラズマの放電特性ならびに表面平坦化効果を調べたが、Arより軽い元素としてNeを、重い元素としてKrやXeによる平坦化効果の検証を行う。これによりイオンエネルギーだけでなくイオン運動量が表面平坦化に及ぼす影響を解明することができると期待される。 また、半球型エネルギー分析器のソフトウェア開発を行い、正常動作を確認する。エネルギー分析器によりイオンエネルギーを明らかにし、AFM による研磨効率と関連づけてイオンエネルギーが表面研磨に及ぼす影響を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)