2012 Fiscal Year Research-status Report
機械加工の高効率化と環境負荷低減の両立を実現する高機能工具表面の創製
Project/Area Number |
24656098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉田 直彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70372406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 香奈子 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80409672)
光石 衛 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90183110)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 工具 / 環境負荷低減 / 極微小センサ / マイクロ機能表面 / 精密加工 |
Research Abstract |
(1)センサ構造の提案および試作:センサ構造として,工具材料であるタングステン・カーバイトが負の大きな熱電能をもつことに着目し,WCを熱電対の-脚とした極小熱電対搭載工具を提案した.厚さ0.1μmのSiO2を絶縁材料とし,厚さ0.1μm x幅75 μm のCrを熱電対の+脚および信号線とした.センサ構造の試作を行い,校正実験・二次元切削実験を通じて有効性を検証した. (2)工具上の切りくず接触面に3次元マイクロ・テクスチャを構築することで摩擦の低減を試みた.摩擦の低減は,切削抵抗や切削温度が減少し,加工に要するエネルギー消費の削減をもたらすことが期待される.どのような形状の構造体が加工中の摩擦低減に最も適しているかはほとんど解明されていないため,まずは幅0.6 μm,深さ1.5 μmの溝とし,ピッチを10,20,30,40,60,80 μmで可変させながらシミュレーションや理論解析などを通じて最適な3次元形状を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,当初予定していた通り,センサ構造の提案および試作を行うとともに,工具上の切りくず接触面に3次元マイクロ・テクスチャを構築することで摩擦の低減を試みることができた. 以上のように,申請書に記入した「研究の目的」を予定通りに達成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)極小センサ・アレイの開発: 開発した温度センサをアレイ化することにより,工具すくい面上の温度分布測定を実現する.切込み2 mm,送り0.2 mm/revまでの旋削を想定し,27点以上のセンサを工具表面上に構築することで加工中の温度分布を測定する.また,回転工具に実装することで,エンドミル加工など複雑な加工においても温度測定が可能となる. (2)平成24年度で検討・提案した3次元構造を工具上に実現し,有効性の評価を行なっていく.切削抵抗の減少は,加工の高能率化を促進し,工程時間の短縮,すなわち,加工機によるエネルギー消費の低減が期待される.また,切削温度の減少は,潤滑油の消費を抑えることができるため,ドライ加工の実現が期待される. (3)平成24年度に開発した材料を工具に適用して,実際の加工特性を評価していく.特に,ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの材料との比較を行う.潤滑性を有する成分を含む材料の工具への展開や,コーティング材の自己潤滑性を最適化・最大化することにより,切削油を用いない環境適応型完全ドライ加工の実現を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①物品費(1)極小センサ・アレイを開発するための消耗品を購入する.(2)3次元構造を工具上に実現し,有効性の評価を行なっていくための消耗品を購入する. ②旅費:国際会議や国内学会での発表を行うために必要な旅費を計上する. ③その他:学術誌での論文発表を行うための論文投稿費を計上する.
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Research Products
(3 results)