2013 Fiscal Year Research-status Report
独自の超平坦SiC表面上でのSi原子層エッチングによるグラフェンの低温形成
Project/Area Number |
24656101
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有馬 健太 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10324807)
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Keywords | グラフェン / シリコンカーバイド / 昇華法 / プラズマ酸化 |
Research Abstract |
単原子層の厚さを有する炭素(C)原子から成るグラフェンは、比類のない優れた電気的性質を持つため、世界的に注目されている。シリコンカーバイド(SiC)表面を加熱する熱分解法は、グラフェンを得る有力な手法である。しかし現状では、グラフェン形成時に同時に起こる、高温条件下でのSiC表面のバンチングステップの出現や、テラス内でのピット形成により、グラフェンが本来有する優れた電気特性が得られていない。 そこで、独自の超平坦SiC表面に大気プラズマ処理を施すことにより、巨大なバンチングステップが無く、かつテラス部に欠陥が無い、優れた電気的性質を持つグラフェンの形成を目的として実験を開始した。 本研究期間に、SiC表面をHeベースの大気圧プラズマに曝す実験を行った。その結果、プラズマ中に含まれる微量の酸素及び水酸基に由来する酸化種により、SiC表面が酸化される際に、酸化膜とSiC基板の界面にモノレイヤオーダーのC原子が集積することを見出した。フッ酸浸漬により表面の酸化膜を取り除き、得られたCリッチなSiC表面を真空中においてアニールすることにより、500nmオーダーの幅を有するテラス内のピット密度が極めて低いグラフェンの形成に成功した。また、CリッチなSiC表面を初期基板とすることによって、従来のグラフェン形成温度(1250℃)よりもやや低い、1100℃においてグラフェンが形成されることを見出した。また、得られたグラフェンの電気化学的な活性を評価するための実験系を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、従来技術よりも低温で、高品質のグラフェンを独自のSiC超平坦表面に形成することを目的としてきた。当初は、SiC表面に大気圧プラズマを曝すことにより、SiC表面近傍のSi原子が選択的に脱離する素過程を予想していた。実際には、SiC表面は酸化されたため、当初の予想とは異なる展開になったが、ウェットプロセスを挟むことにより、結果的にはCリッチなSiC表面を形成することに成功した。そして、これを初期基板として用いることにより、従来技術よりも低温での低欠陥グラフェンの形成を実現すると共に、電気化学的な活性を評価する実験系を整備した。これらを踏まえると、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られた成果を国際会議において口頭発表し、広く世界中の研究者に周知することを予定している。 また長期的には、現在(1100℃)よりもさらに低温での高品質グラフェンの形成を目指す予定である。これは、シングルバイレイヤーのステップ/テラス構造、即ち、初期の研磨によって決まる超平坦表面構造を維持したままで、グラフェンを形成する上で必要である。これを実現することにより、グラフェンが本来有する優れた電気的特性をSiC表面上で初めて実現することができると期待される。それに加えて、高品質なグラフェンは電気化学的に高い活性を発現すると期待され、この方向でも検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に、昇温プロファイルを制御した条件下でグラフェンを形成し、その構造評価を行った上で国際会議にて発表する予定であった。しかしその過程で、ある実験条件の下で、グラフェンの欠陥密度が大きく低下するという現象を思いがけず見出した。そこで計画を変更し、この低欠陥グラフェンの形成メカニズムを優先して調べることにした。そのため、これらの成果をまとめた国際会議発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てたい。 米国材料学会(2014年4月)での発表の為の旅費及び参加費の支払いに充てる。
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Research Products
(10 results)