2012 Fiscal Year Research-status Report
多層金属微粒子の製造実現と新機能創発への挑戦的研究
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24656105
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
生津 資大 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90347526)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 発熱微粒子 / 噴霧加熱法 / 霧化加熱法 / 自己組織化 / 無電解めっき / 還元 / 自己伝播発熱反応 |
Research Abstract |
本研究では瞬間発熱機能を持つマイクロ~ナノサイズの微粒子を量産する技術を開発することを目的としている.初年度となるH24,当初,超臨界流体を用いたNiナノカプセル製造技術の開発と,粒子スパッタ装置の設計を行う予定であった.前者の実験を行った結果,ポリビニルアルコール製の粒子鋳型の作製には成功したが,その内壁にAlやNiを均一厚みで堆積させることはかなり困難であった.また,微粒子の表面にスパッタで薄膜を被覆する装置の設計を行ったが,本研究で作製実現を目指す粒子サイズは100nm~100μm程度であり,極めて小さく,φ5μm未満の微粒子を真空中で凝集させることなく分散させることは極めて困難であった.したがって,当初の研究計画を変更し,別の方法で発熱微粒子の製作に着手した.その技術は噴霧加熱法による多孔質アルミナ微粒子の作製技術に基づくものである.この技術は,アルミナの原料となるゾルを霧状に噴霧して管の中を移動させ,その最中に電気炉で熱分解してアルミナの微粒子を作る技術である.我々は,噴霧させる際にポリスチレンのビーズを一緒に混入させ,ミストの状態での自己組織化でポリスチレンが最安定構造に配列することを利用してアルミナの多孔質微粒子を実現する.そして,超高真空アニール,水素アニール,もしくは高密度電子線照射することで還元させ,多孔質アルミ微粒子状態にした後に無電解めっきで空孔部にニッケル等を堆積させ,Al/Ni発熱微粒子を実現する.今年度はまずは噴霧加熱装置の設計を行った.ここでは作る微粒子のサイズを5μm未満と10μm以上に分け,それぞれを霧化加熱法と噴霧加熱法で実現することにした.設計図を基に装置の製作を行い,完成させた.霧化加熱法で微粒子作製の予備実験を行ったところ,粒径100nm~1μm程度のアルミナ微粒子の製作に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的実現のため,当初の研究計画とは異なる方向に進むことを決断した.噴霧と霧化でアルミナゾルをミスト化し,ポリスチレン粒子と混合させ,自己組織化現象とアルミナ化とを併用した新たな技術の開発からスタートした.噴霧加熱装置の設計を行い,装置の製作から予備実験まで,一連の実験設備の構築を行い,アルミナ微粒子を製作できたことから無事目標地点まで到達した.この実験と並行して,アルミナの還元方法の検討と予備実験,多孔質体へのニッケル無電解めっきの方法検討と予備実験を進めており,これらもほぼ目標としていたところまで到達した.よって,研究目的の達成度は概ね順調であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度,まず,霧化加熱および噴霧加熱によりアルミナ微粒子の粒径をコントロールする条件出しからスタートする.これに影響を及ぼすのはアルミナゾルと水との割合,ミストの流速,炉の温度と考えられ,これらをパラメータとして最適条件を抽出する.次に,ポリスチレン微粒子をゾルに混入させ,ミスト状態での自己組織化現象を利用して多孔質アルミナ微粒子の製作技術を確立する.重要なのはゾルとポリスチレンとの混合比および炉の温度と考えられ,最適値を模索する.それが完了し,任意の気孔率とサイズを持つアルミナ微粒子の量産技術を確立させた後,アルミナの還元を実現する.現在検討し,予備実験を行っている方法は,超高真空アニール,水素アニール,電子線照射の3方法であり,電子線照射では若干還元が進むことを確認している.アルミはイオン化傾向が大きいのでアルミナの還元はかなり難しいと考えられるが,固定観念にとらわれずにあらゆる技術をトライし,還元できる最良条件を見出す.そして,多孔質アルミ微粒子の空孔内部にニッケルを充てんするための無電解めっき技術を確立させる.これは現状でもある程度実現できている技術ではあるが,多孔質微粒子の空孔サイズによっては表面張力により無電解めっき液が内部まで入らない可能性が高い.そのため,多孔質微粒子表面を親水性にする技術の検討も行う.原案は,アルコールによるOH処理やプラズマ処理などである. 以上が完了すれば,様々なサイズとAl:Ni比を持つAl/Ni微粒子を量産し,それぞれの発熱特性を評価する.評価には示差走査熱量計測を用いる.これにより,様々なアプリケーションを視野に入れ,様々な発熱特性を持つ発熱微粒子の量産実現を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)