2013 Fiscal Year Annual Research Report
境界潤滑の理論体系構築のためのナノ摺動すきま形状顕微鏡
Project/Area Number |
24656112
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福澤 健二 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60324448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 伸太郎 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50377826)
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Keywords | トライボロジー / 摺動すきま / エリプソメトリー / 顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では,エリプソメトリーの原理を用いたすきま形状計測法の提案をねらいとしている.前年度までに,プローブおよび基板として透明なガラスを用いるため,それらからの反射光の強度が不足する課題が判明した.そして,数値シミュレーションを用いて摺動プローブに金属膜を形成することにより課題が解決できるという指針を得た.この指針をもとに,クロム膜をコートしたガラス球をガラス基板に接触させた場合のプローブと基板間のすきまを測定した.すきま計測としては,像の輝度を最小とする偏光子の回転角から偏光状態を求め,それをすきまに変換することを試みた.試料各点のすきまは,偏光子の回転角を変えながら,複数のすきま像を撮像し,撮像終了後に画像から試料各点について輝度最小となる偏光子の回転角を求めた.入射角あるいは偏光素子の回転角の設定精度など,エリプソメトリーによるすきま計測には,精度の高い調整が必要であることが判明した.対物レンズの鉛直位置をずらした時の像の変化から入射角を推定する方法や偏光素子の軸を正確に設定する方法を工夫するなどし,注意深く光学調整を行った.また,顕微鏡光学系のレンズやミラーといった光学素子により偏光状態が乱れてしまうことが分かった.そこで,シリコン基板など標準試料を計測し,偏光状態の乱れを補正する方法を導入した.さらに,ガラス基板を弾性体で支持する構造とし,その変形量からプローブに印加される荷重を測定できる構成とした.得られたすきま分布は,幾何形状とヘルツの接触理論から予想される値とおおむね一致し,本法によりすきま形状計測が可能であることを明らかにした.摺動時のすきまについても本法により計測が可能であり,本法は境界潤滑の理論体系の構築に有効であると考えられる.
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