2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656113
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
真下 智昭 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, テニュアトラック助教 (20600654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 孝典 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10345952)
寺嶋 一彦 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60159043)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 超音波モータ / アクチュエータ / 摩擦駆動 / トルク制御 |
Research Abstract |
高速度顕微鏡によって超音波モータが発生する楕円運動を観察しながら,モータの出力であるトルクや回転数を測定できる実験装置の開発を行った.ステータとロータ間の押し付け力はモータ出力に影響するため,この装置では,押し付け力を自由に変えることができるように設計を行った. 開発した実験装置を用いて,楕円運動の振幅とモータ出力の関係を調査し,その実験結果に基づいて,クーロン摩擦を用いた超音波モータの出力モデルを構築した.有限要素法(FEM)解析によって,モデルパラメータを計算し,モデルの精度を高めた.提案するモデルを実験で検証し,モデルが実験結果とよく一致することを明らかにした.楕円運動振幅を実験で検証することができたことは,世界で初めての研究成果である.さらに,押し付け力がモータ出力および楕円振幅に与える影響についても調査しモデルに組み込んだ.これらの研究によってトルクを最適化するための摩擦係数と楕円振幅を選定する手法が明らかになった. モータを高トルク化するためには,ステータの振動による内部損失(発熱)を抑えることが有効である.そこで,軽くてよく撓るチタン合金など低減衰材料をステータ材料として用いて設計・開発した.チタン製ステータは鉄や銅製のステータと比べると,質量は概ね半分である.ステータの質量がモータのトルクに与える影響を,モデルと実験によって明らかにした. また,超音波モータの安全制御手法に関する開発を行った.超音波モータにリンクを備えた実験装置を準備し,モータの駆動実験を行い,センサが危険を検出したときに,わずか数ミリ秒で急停止できるようにした.また瞬時にバックドライバブル状態(軽い力でリンクを押し返すことができる状態)にする制御を行うことも可能にした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って,高速度顕微鏡を用いて実際の楕円運動の振幅を,超音波モータの出力モデルに取り込むことにより,信頼性の高いモデルを構築することができた.そのモデルに基づいて,超音波モータのサイズや材料を変えたときの影響などについて調査を実施しており,これまで順調に研究が進んでいる.また楕円運動の解析プロセスでは,二次元の超音波振動を高速度カメラで捕える手法および評価方法について検討を行い,画像処理などを用いて定量的に振動振幅を評価することができるようにした. 現在までに,モータの質量あたりトルクの数値目標は達成できていないが,より高い電圧を印加することや,ステータのロータの接触状態を最適化することにより,トルクを向上できる見込みがある. 一方,超音波モータの安全性についても調査および研究を行い,超音波モータの安全性を実証している.超音波モータは,静止時の摩擦トルクが大きいがゆえに,バックドライバブルでないという誤解を受けることが多いが,電気的制御によって,バックドライバブルを実現できるようことを示した.またトップスピードから静止状態までの急停止動作をわずか数ミリ秒で実現できることも示した.危険を回避すること,瞬時に安全性を確保することに活用できる駆動技術である.
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Strategy for Future Research Activity |
開発した超音波モータの出力モデルの適用範囲を調べるために,異なるサイズの超音波モータの研究を行い,実験でモデルを検証する.もしモデルと一致しない場合は,その理由を考察し,モデルに補正項を加えるなどしてモデルを修正できるようにし,モデルの一般化を図る. モータの質量あたりトルクの数値目標(ステータ4枚,質量500gでトルク8Nm)を目指して,ステータの形状,材料,ステータとロータの接触状態を最適化する.軸に負荷が与えられた場合にも安定した出力を得られるように,モータの押し付け機構をFEM解析及び実験により設計する.試作機では,ステータを積層化することにより,枚数分のトルクを得る.目標トルクは,ステータ1枚あたり最大約2Nm(ステータ4枚で最大8Nm)である. これまでの実験で超音波モータのバックドライバビリティを実現できることは確認しているが,トレーニングマシンに実装するにあたって,バックドライバブルを実現するモータドライバを開発する必要がある.過去に作ったモータドライバを設計変更し,瞬時にバックドライバブルにすることが可能なドライバを試作する.また,ドライバには外乱(日常の温度変化や経年変化など)に対処できるための周波数フィードバック機能を追加する. 超音波モータ,リハビリ対象部位(腕や足など),トレーニングマシンなどを含めた動力学モデルを構築し,目標トルクに応じて柔らかく動かすコンプライアンス制御手法の開発を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)