2012 Fiscal Year Research-status Report
色収差を利用した3次元共焦点マイクロPIVシステムの開発
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24656118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 まり 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (40242127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 正道 東京大学, 生産技術研究所, 技術専門職員 (70396901)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 共焦点顕微鏡 / 可視化 / マイクロPIV / マイクロ・ナノデバイス / 画像処理 |
Research Abstract |
初年度は光学設計とPIVアルゴリズムの構築に充てた。ここでは、色収差対物レンズなど光学素子の選定とその配置検討を行い、さらにカラーカメラおよびトレーサ粒子の選定も行った。 対物レンズの選定については高価で高NAのレンズほど色収差の補正が良好であり、収差が出にくいことが画像からも確認できた。そこで、より安価なレンズを購入して収差の量を検証している。当然ではあるが、レンズは中心部より周辺部の方が収差が大きいため、正確にz方向の収差量を求めるために2次元撮像面の補正マッピングが必要である。 レンズと共に重要である光源に関しては、まず白色のメタルハライドランプを共焦点スキャナに導入してみたところ、スキャナ内部のビームスプリッターでの単純な画像分離ではすべての波長が含まれるため色分離が難しく、適さないことが確認された。そこで現在はビームスプリッターの代わりにマルチバンド特性を持つダイクロイックミラーを用いること、また光源もいくつかの波長にピークがあるもの、もしくは何種類かのレーザを同軸で挿入するテストを行っている。 トレーサ粒子に関しては予定していた無色のポリスチレン粒子では光の反射率が弱いことと、収差量がそのまま反射されるために色分解能の面で劣っている。現在、たとえば励起波長バンドに比べて蛍光波長バンドが広くなるような蛍光粒子の導入を検討している。 カラーカメラはテスト用に安価な産業用カメラを使用しているが、小型の素子のため画像の暗く、ノイズが大きい。現在、数種のメーカの高速カラーカメラをテストしている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的としていた光学設計とPIVアルゴリズムの構築において、まず光学設計はレンズと光源、トレーサ、カメラの選定について、さまざまな組み合わせを検討し、順調にデータの蓄積と選定作業が進んでいる。また、アルゴリズムの構築においては、ベースとなるのは通常の2次元PIV解析とPTVアルゴリズムであり、これら双方を組み合わせた本手法独自のアルゴリズムを構築中である。 達成度としては予想されていた不具合とその対策についても想定の範囲内であり、取り立てて致命的な遅れはなく、順調であると考える。また、次年度に予定されていた段差チャネルの製造や精度検証のための他の計測手法の確立に関してはすでに達成しており、一部前倒しで研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、次年度は実際にマイクロ流路内流れの3次元流動の計測を試みる。研究室内で段差のあるバックステップ流路の製造にも成功しており、装置およびアルゴリズムの改良と同時進行で進めていく。また、精度検証および性能の実証のために、他の3次元計測手法との比較も予定しており、代表的なものとして、Defocusing法および連続の式を用いたz方向速度成分算出アルゴリズムがすでに完成している。 まず手法と性能が確立された時点で学会発表もしくは特許申請を行い、年度後半にはさまざまなアプリケーションへの応用を検討する。特に、マイクロ混相流や血球細胞の流動挙動はすでに他の手法での計測に成功しているものの、実験の難易度の高さや精度不足があるため、本手法の適用可能性を探り、継続的・発展的に研究を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に購入に至らなかった高速度カラーカメラを筆頭に、光源など必要な機器を次年度初頭に揃える。ただし、予算に限度があるため、必要最低限のスペックを満たすものをバランスよく購入していく必要がある。 消耗品としては、実績の概要欄に記入した特殊な蛍光トレーサ粒子や、マイクロチャネル材料を購入する。 その他、成果発表については、可視化計測系の学会と、マイクロ流体デバイス系の学会の2つの異なる分野で発表を行い、それぞれの視点からの評価と発展性を探っていく。
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Research Products
(4 results)