2012 Fiscal Year Research-status Report
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24656127
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐々 浩司 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (50263968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 弘守 宮崎大学, 工学部, 助教 (90219741)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ダウンバースト / ガストフロント / 突風災害 / 乱流特性 / 室内実験 |
Research Abstract |
回流水槽中に設置した小型タンクからリン酸二水素カリウム水溶液を落下させることにより移動マイクロバーストを再現し、鉛直断面と水平断面を同時にレーザーシートで照射して同時に2断面の動的PIV計測を行い、床面付近における流速変動について調べた。 その結果、最も高流速が観測されると思われる地点において、実際に観測されるダウンバーストと同様な時系列変化を観測した。その流速変化の波形には時間スケールの短い境界層乱流によるものと思われる変動が多く含まれていたが、その振幅は最大流速ピークの10%程度しかなく、突風の局在性にあまり寄与しないことを明らかにした。一方、最大流速ピークの50%程度に及ぶ大きな変動については時間スケールが比較的大きく、乱流変動とはやや異なるものであることを明らかにした。 鉛直断面においては、冷気外出流に大きな流速ピークが見られるものとそうでないものの特徴について比較した結果、突風被害を与えるような大きな流速ピークを持つものは、下降噴流の周囲にあまり大きな渦ができることなく下降するが、そうでない場合は周囲に渦が多数形成され、下降噴流が着地する前に減衰していることを明らかにした。 大きな流速ピークが現れるような場合、床面付近の水平断面においては流速の大きい領域が局所的に見られ、これらは下降噴流時に特に急速に下降している領域に対応していた。これら移動マイクロバーストの補正スケーリング則にあてはめたところ、直径3000mで平均流速13m/sのダウンバースト内に直径300m程度で30m/sの高流速域が存在することを明らかにした。 これらのことより、ダウンバーストの局在性は主として下降噴流の下降中の渦構造に起因していることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初初年度に予定していた宮崎大学における風洞実験は双方の日程調整上、行う事ができなかった。 一方、水槽実験によって、当初予想していた境界層乱流の寄与は小さいことを明らかにするとともに、別の理由として考えていた下降噴流における渦構造や乱流構造の影響が大きく、これにより大規模なスケールの変動が生じることが突風の局在性に寄与することを明らかにした。この結果は次年度において調べて行くことを予定していたものであり、予想以上に大きな成果が得られたことになる。 これらの状況を総合すると研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に水槽実験において計測したデータはまだ未解析のものが多く残してあるため、まずこれらのデータの解析を進め、年度内に得られた概略の結果をより詳細に検討していく。 また、水槽実験により境界層乱流の寄与が小さいことはほぼ判明しているが、突風を模擬した風洞においてどの程度の振幅の変動がどのような空間スケールをもつかを多点熱線計測により調べて、水槽実験における結果と比較検討する。また、野外における実観測データを一部用いて、同様な気流構造について比較検討する。 寄与が大きいことが確認された下降噴流の構造については、実験の構造上生ずる噴流構造の変化についても再検討するとともに、降雨現象内における雨滴併合分散などの寄与や、降水システム内の微小構造に関する観測事実などの文献を調べて、実験との対応を比較検討する。 これらの結果を総合し、局所的な突風構造の原因を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に得られた成果と、未解析の結果をさらに解析して得られる成果を国内学会および国際会議にて報告する予定であり、その旅費として使用する。 また、前年度予定されていた風洞実験は今年度実施するため、そのための消耗品(熱線流速計のセンサー製作部品や記録ディスク等)と移動旅費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)