2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロビームセンサを用いた薄膜の面方向熱伝導率の測定法
Project/Area Number |
24656139
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高松 洋 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20179550)
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Keywords | 熱物性 / 測定法 / 薄膜 / 面方向熱伝導率 / センサ / MEMS |
Research Abstract |
本研究は,研究代表者が流体の熱伝導率測定法開発のために考案した梁状のマイクロビームMEMSセンサを用いて,薄膜の面方向熱伝導率を測定する新しい方法の開発を目指したものである.2 年計画の最終年度の本年度は,金薄膜を試料とした測定を行い測定の実証を行った. まず,二次元電気伝導解析により電極パッド内の電位分布を考慮してセンサ部での電圧降下を精確に見積もる方法を考案した.そして,長さ9.2ミクロン,幅0.58ミクロン,厚さ40ナノメートルの白金センサを作製して真空チャンバー内で加熱してその電気的・熱的性質を測定した.次いで厚さ20ナノメートルの金薄膜を蒸着した後に同様にセンサ・金薄膜複合体の電気的特性と有効熱伝導率を測定した.得られた結果より二層膜の熱伝導モデルに基づいて金薄膜試料の面方向熱伝導率を求めた. 220℃で3時間アニーリングを行った白金センサの導電率は20℃ では4100000(1/Ωm)でありバルクの白金の約40%,温度係数もバルクの40%程度であった.金薄膜を蒸着すると電気抵抗は約65%低下した.白金センサの熱伝導率は20℃では36W/(m・K)でありバルクの50%程度であった.一方,金薄膜試料の熱伝導率は,蒸着しただけの状態では112W/(m・K)であり,これを140℃で2時間アニーリングすると約7%高くなった.これらの値は,それぞれバルクの金の36%および38%程度であり,ほぼ同じ膜厚さの試料の文献値(但し温度は-90℃)より10~30%程度小さかった. 上記のとおり,本研究助成によりマイクロビームセンサを用いた薄膜試料の面方向熱伝導率測定を実証した.薄膜の場合,成膜条件のわずかな差で熱伝導率が大きく異なる可能性があるため,比較的手軽に熱伝導率が測定できる本研究の方法は極めて有用である.
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