2013 Fiscal Year Annual Research Report
化学平衡により近づけた方法による燃料電池生成水の気液状態の特定
Project/Area Number |
24656141
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 衡平 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10283491)
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Keywords | 燃料電池 / 気液状態 / 物質輸送 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池(PEFC)の電池反応にともなう生成水の気液状態を開回路電圧(OCV)により特定する。電解質膜を通常より1000倍厚くし、内部短絡電流を1/1000レベルに低減して化学平衡に近い状態を構築し、この時のOCVを計測し、熱力学の知見と結び付けながら例えば25℃の運転においてOCVが1.23Vに近ければ液体、1.18Vに近ければ気体の生成の割合が多いと特定する。特に、供給ガスの相対湿度をパラメーターにOCVを計測し、湿度が高いほど液体生成割合が高くなるか検証した。 他方で、電解質膜を厚くし、短絡電流を減少させてOCVを計測しようとしたが、OCVは不安定で、通常の電解質膜と同等のOCVしか得られなかった。そこで手法を切り替え、すなわち短絡電流を計測し、実測したOCVを短絡電流とターフェル式に基づいて補正し、補正したOCVと平衡電圧との比較から気液生成割合を特定した。ターフェル式における交換電流密度には詳細なモデルを組み込んだ。 補正したOCVは温度が高いほど、湿度が高いほど低く、ネルンスト式の傾向と一致した。特に40℃の場合の、補正したOCVは液体、気体生成の平衡電圧の間に位置し、湿度が高いほど液体生成の平衡電圧に漸近した。このことは直観とも整合し、湿度が高いほど液体の水が生成すると判断される。このような気液判別の知見は、今後、PEFC水管理の適正化に有効だと考えられる。一方で高い温度の場合には、補正したOCVは平衡電圧より最大で70mV低く、交換電流密度モデルの本研究への適用に70mVの差異の原因があると考えられる。今後は交換電流密度を実測するなどして補正の精度をあげ、補正したOCVと平衡電圧を比較し、液体、ガス生成の割合を更に系統的に評価する。
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