2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656147
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 純 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40210455)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 質感 / 透明感 / 奥行き感 / 散乱 / ふく射 / 半透明 / 官能評価 |
Research Abstract |
市場にある製品全般について言えることであるが,求められる機能を持つことは当然として,競合する製品との差別化のために,高い質感が要求されている.その要求に応えるには,その質感をもたらす因子を把握すると同時に,それらが,その質感に与える影響を定量化することが望まれる.本研究では,見た目の質感に大きく影響する透明感,奥行き感(深み)について,その言葉で表現される質感が何によってもたらされるかを調べると同時に,それらが「透明感・奥行き感」に与える影響の度合いを評価することを目的とする. 平成24年度では,白色陶器や人工大理石のような散乱性素材を対象とし,1) 素材の光物性,および,2) 媒質の幾何学的な厚さが,「奥行き感」に及ぼす影響を調べた.その年度では.そのための実験系を考案し,複数の被験者により官能試験を実施した.実験系では,官能評価の再現性を高める工夫を行っている.まず,官能評価の対象が人ごと,評価の機会ごとに異なることを避けるため,一旦,対象を画像として保存し,直接対象を被験者に見せるのではなく,画像を見せることで,奥行き感を評価することとした.この場合,人が奥行きを判断できる必要があるため,ここでは,奥行きを認識できる3Dの手法を採用している. この実験系により,比較的,光学厚さが小さい条件下では,幾何学厚さが大きい媒質(濃度が低い媒質)に,奥行き感・透明感を感じることがわかった.しかし,媒質背面の模様が認識できない程,光学的に厚い条件では,一部に,幾何学的に薄いものに,奥行き感を感じるという評価が得られた.さらに,光学厚さが一定である対象に関する官能評価では,たとえ光学厚さが同じであっても幾何学厚さによって,奥行き感に違いを生じることが分かった.本研究で行った官能評価の結果をもとに,奥行きを感じる領域のマッピングを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では,散乱性媒質の奥行き感,透明感をもたらす因子として,1) 素材の光物性,および,2) 媒質の幾何学的な厚さを取り上げ,それらが,奥行き感,透明感に与える影響を評価するための実験系を考案,開発した.また,最初の成果として,その影響を定性的に示すマップを製作することができた.これらの成果は,平成25年5月開催の伝熱シンポジウムに発表予定であり,研究初年度の成果としては,当初の計画以上のものである.
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Strategy for Future Research Activity |
散乱性媒質の奥行き感,透明感を評価するための実験系を考案し,実際に,それらの評価を行った.しかし,現時点では十分に信頼に足る結果とは言えない.今後は,実験系を見直し,評価の信頼性を向上させると同時に,数値解析を併用することで,透明感,奥行き感に与える因子,影響をさらに明確にしていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一昨年度は,実験系を考案するにあたり,信頼性以上に実験手法のフレキシビリティを優先した.開発した実験系により成果は得られたが,その信頼性を向上するためには,実験系の刷新が必要である.例えば,光入力とデジタル出力の線型性が保証されたカメラ,さらには,輝度の安定した,太陽光に近い光源などを購入する予定である.
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