2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24656147
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 純 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40210455)
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Keywords | 散乱 / 半透明 / ふく射 / 一対比較法 / サーストン |
Research Abstract |
研究初年度にあたる平成24年度では,素材開発に資することを目標に,製品素材を模した散乱性媒質を対象とし,透明感・奥行き感に与える媒質の光物性,幾何学厚さの影響を実験的に調べてきた.その結果,媒質の光物性と幾何学厚さに,透明感・奥行き感を生じさせる範囲があることは確認できた.しかしながら,それらがどの程度の透明感を生じさせるか,すなわち,透明感を定量評価するには至たらなかった.本研究では,サーストンの一対比較法を用いて,それらの因子が散乱性媒質の透明感に与える影響を定量的に評価することを試みた. サーストンの一対比較法とは,ある母集団を形成する要素が,それぞれ,何らかの感覚的な状態を持つとき,それらの状態に尺度を付けるための方法である.本研究の例で言うと,要素とは,光物性や幾何学厚さの異なる媒質(評価実験においては,その画像)で,感覚的な状態とは,媒質(画像)の透明感の強さである.この方法を用いることで,各要素の透明感の強さを数値化できる. 実験装置に関しては,平成24年度の手法を踏襲した.散乱性媒質として,希釈した粉乳を利用し,濃度を変えることで媒質の光物性を変化させた評価試料を準備した.実験では,その光物性に加えて,媒質の幾何学厚さが透明感に与える影響を,サーストンの一対比較法で定量化した.その結果,媒質の光学厚さ4以上の領域では,透明感は光学厚さの増加に伴って,単調に減少することが分かった,また,幾何学厚さにも依存するが,光学厚さ2付近で透明感にピークが存在する可能性があることがわかった. 加えて,この年度では,視線移動が透明感の認識に強く依存することが明らかとなったために,その実験系について検討を開始した.
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