2012 Fiscal Year Research-status Report
3次元動的力学刺激場の能動応用による再生治療用3次元ニューロンネットワークの創生
Project/Area Number |
24656150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小沢田 正 山形大学, 理工学研究科, 教授 (10143083)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 動的力学刺激 / 3次元振動ステージ / iPS細胞 / 分化誘導 / ニューロンネットワーク / ポリ乳酸多孔体足場 |
Research Abstract |
本研究では誘導因子に加え,3次元動的力学刺激環境を実現することにより,分化誘導から細胞組織のアクティブ立体培養を可能とする全く新たな手段の提言を目指す。すなわち,iPS細胞を用いた再生治療に貢献するため,生きている培養細胞に対し3次元の動的力学刺激を自在に付加し得る圧電駆動超小型3次元振動ステージを開発し,これまでとは全く異なる力学的原理に基づく3次元ニューロンネットワークの創生を可能とする革新的デバイスシステムの構築を目指し以下のように研究を実施した。 平成24年度は,大変位超小型圧電3次元振動ステージスシステムの構築を行った。この超小型3次元振動ステージは,圧電素子を利用した微小一体型振動子とこれに付随する培養用ステージから成るシンプルな構造を有している。はじめに汎用有限要素法ANSYSにより,基本設計・開発を行った。この結果に基づき,1枚のステンレス板から立体ねじれV型カンチレバー状に加工した振動子に,直交3軸方向それぞれの変位が制御できるように3箇所に複数の圧電素子を接着し製作した。これらの圧電素子に任意の信号を入力することにより先端ステージの変位を高精度に制御でき,3次元的な動的力学刺激付加が可能である。また,任意の振動数で加振させることが可能となる。複数の本デバイスをCO2インキュベータ内に組込み制御することにより,種々の3次元動的力学刺激環境下で組織的に培養コントロールを行うことができるシステムの構築を行った。 第一段階として,培養マウスiPS細胞のコロニーレベルにおける成長に及ぼす動的力学刺激の影響を検証した。今後,特定の周波数,振動方向,振幅,刺激インターバルに注目した動的力学刺激のiPS細胞活性化への影響を組織的に評価することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大変位超小型圧電3次元振動ステージスシステムの構築を行った。この超小型3次元振動ステージは,圧電素子を利用した微小一体型振動子とこれに付随する培養用ステージから成るシンプルな構造を有している。1枚のステンレス板から立体ねじれV型カンチレバー状に加工した振動子に,直交3軸方向それぞれの変位が制御できるように3箇所に複数の圧電素子を接着し製作した。これらの圧電素子に任意の信号を入力することにより先端ステージの変位を高精度に制御でき,3次元的な動的力学刺激付加が可能である。また,任意の振動数で加振させることが可能となる。 複数の本デバイスをCO2インキュベータ内に組込み制御することにより,種々の3次元動的力学刺激環境下で組織的に培養コントロールを行うことができるシステムの構築を行った。 第一段階として,培養マウスiPS細胞のコロニーレベルにおける成長に及ぼす動的力学刺激の影響を検証した。また,マウスiPS細胞から神経細胞への分化誘導を行い,次いでポリ乳酸多孔体足場における同神経細胞の接着性および培養法の確立を行った。さらに神経細胞の成長性,ニューロンのネットワーク形成に関する基本的な挙動の把握および観測を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
力学刺激付加デバイスが予定通り完成しつつあるため,今後は当初比較的培養が容易なマウスiPS細胞を用いた先導研究を行い,そのノウハウの蓄積に基づきヒトiPS細胞の神経細胞への力学刺激による分化誘導促進法構築を目指す。 本研究ではヒトiPS細胞(HPS0001およびHPS0002)を用い,特にヒトiPS細胞から神経幹細胞へ分化誘導し,次に神経幹細胞から神経細胞およびグリア細胞への分化誘導を試みる。生化学的分化誘導因子のみの場合と前年度の開発した振動ステージによる3次元動的力学刺激環境を複合させて用いる場合について比較実験を行う。さらに分化誘導効率,分化所要時間,分化細胞の健全性について比較検証を行う。また力学刺激と細胞内部構造および力学特性の変遷の検証も合わせて行う。 iPS細胞から分化誘導された神経細胞と臨床的に採取された神経細胞とでは,性質や力学刺激に対する挙動が異なることが予想されるため,その差異を精査,検証すると同時に,ヒトiPS細胞特有の各分化プロセスに最適な3次元動的力学刺激環境の探索を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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