2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656157
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
増田 新 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (90252543)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | エナジーハーベスティング / 非線形振動 / 引き込み |
Research Abstract |
平成24年度は,衝突振動系モデルの構成,ハードニング振動系に負荷切替回路を接続した自励発振振動発電装置の特性解析と高効率な引き込みを実現する自励発振制御アルゴリズムの開発,を目標として研究を行い,次の知見を得た: (1)片持ちはり振動子の両側にストッパを設置した衝突振動系に圧電素子および負荷回路を接続した実験装置を設計製作した.同時にストッパ衝突による境界条件変化を考慮した圧電素子積層はりの数学モデルを作成し,モード展開による低次元化を行って平均法による定常応答解を求解し,正弦波加振実験の結果との整合性を確認した.実験機に対する負荷切替制御機構は現在開発中である. (2)ハードニング振動系に負荷切替回路を接続した自励振動系について二種類の負荷切替則を適用した場合の求解を平均法および数値解析によって行い,加振振動数,加振振幅としきい値に対する高エネルギ解の大域的安定性の依存性について解析した.その結果,大域的引き込みが生じる条件は平均法解析によって得られるものより厳しく,しきい値の適応的制御が必須であることが示唆された. (3)少量のエネルギ消費で外部環境振動に確実迅速にロックインすることを目指すために,振動源からのパワーフローに注目した制御アルゴリズムの検討を行った.その結果,しきい値の適応的調節とは異なるアプローチ,すなわち振動子の位相を明示的に制御して加振源からのパワーフローを促進することが有効であることが示唆された.位相の調節機構としてはこれまでの抵抗性負荷に加えてリアクティブな負荷を利用することが考えられる.また,これまでは解析的アプローチとして平均法に基づく検討を行ってきたが,平均法では引き込み後の解の安定判別が行えるのみで,引き込みに至る過渡現象を記述できない.そこで,あらたに位相縮約理論を用いた引き込みダイナミクスの解析に着手し,引き込み特性の解析を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
衝突振動系モデルの構成と実験装置の製作については,後者について遅れが生じているが研究計画の修正により対応可能である.自励発振振動発電装置の特性解析と発振制御アルゴリズムの開発については,前者の結果,これまでのアプローチの課題が明らかになったため,一部の研究計画を変更して対応中である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を修正し,次年度の目標を以下のように設定する: (1)負荷切替による自励発振回路の開発を行い,本年度製作した衝突振動子および磁石を用いたハードニング振動子に適用して,自励発振による高エネルギ応答へのロッキングの効果を総合的に評価する. (2)位相縮約理論による引き込み解析および数値解析を併用してより効率的な引き込み方法の検討を継続し,しきい値の適応調整や受動回路の切替を含む新しい制御アルゴリズムを開発する. (3)高エネルギ応答を得るための新たな受動的方策として,双安定振動子の利用を検討する.本年度製作した実験装置に永久磁石を追加して双安定化を行い,基礎的な特性解析を行う.さらにこれに自励発振回路を負荷した場合の特性について数値実験により検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は実験装置の製作に遅れが生じたために使用しなかった研究費が発生した.これについては予定通り実験装置の製作費に充当する.他については申請時の計画に準じた使用を行う.
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