2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 潔 東京大学, IRT研究機構, 教授 (10282675)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 触覚センサ / カンチレバー / せん断力 |
Research Abstract |
非線形材料中の微小素子の動作計測・解析に関し、粘性液体であるシリコーンオイル中にピエゾ抵抗ヒンジ部を持つカンチレバー構造を封止したデバイスを試作した。これらはシリコーンゴムの筐体に封止されており、筐体表面にかかった力をシリコーンオイルを介してカンチレバーで検出する方式のせん断力センサとして動作する。カンチレバーの変形は粘性液体の流れに従うので、せん断力の変化を微分した波形がカンチレバーの抵抗変化として現れる。粘性液体を介するため、大きなせん断力が加わっても破壊することなく測ることができた。 非線形材料を微小領域に封止するためのプロセス技術として、シリコーンオイルに有機膜であるパリレン薄膜を直接蒸着して封止する技術を開発した。成膜過程を直接観察する手法を開発し、液滴の形状変化から液体状のパリレン薄膜の表面張力は700uN/mm程度であることがわかった。液体界面と高分子膜界面との間の状態に関し、平面状に塗布したシリコーンオイルの上に蒸着したパリレン膜を引き剥がし、SEM観察を行った。蒸着源側の表面はスムースで稠密であるが、液体と接触側の表面はポーラス状になっていることが観察された。切断面のSEM観察を行った結果、ポーラス状のパリレンは液体側から1.2μm程度の厚さであった。 微小な力を検出する手法として、ピエゾ抵抗カンチレバーによる力検出部に力を伝える際、シリコーンゴムで作られた微小なビラミッド構造を介する検出構造を試作した。従来のピエゾ抵抗カンチレバー型触覚センサは、カンチレバー全体がシリコーンゴムに埋め込まれ、ゴムの変形自体を検出する方式であった。それに対してカンチレバーの周囲に空間をあけて自由に変形できる構造にしたため、微小な力でも大きな出力を得ることができる。4組のピラミッドとカンチレバーを用いて、圧力と2方向のせん断力を高感度に検出できる3次元触覚センサを実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の研究成果の他に、金コーティングされたマイクロピラミッドのアレイを用い、抵抗体に押圧する方式の高感度の圧力センサを開始している。ピラミッドへの圧力の増加によって接触面積が増加し、非線形な応答を示している。この非線形特性はセンサの検出範囲を拡大する手法として利用することができる。以上より、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本提案が目指す力を計測する上で必要となる非線形材料の選定を行うとともに、これらの材料を用いて触覚センサ構造を試作し、外力に対するセンサ応答を計測し、基礎特性として評価する。またロボットハンドへの集積を実現することを目的とし、外力に対するセンサ応答を処理するプログラム・電子回路の実現に取り組む。特に、ロボットハンドによる物体操作を実現することを考慮に入れた場合、複数のセンサ素子の出力情報を同時に処理する必要がある。各素子の出力のシリアル化や、増幅を行うためのICチップを各センサ素子に集積するなど、回路の設計・適用を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
センサ構造の試作や実験のための基板や薬品、電子部品などの消耗品費、学会等の出張のための旅費、プロセス装置の維持費、管理費、使用料が次年度の主な研究費の使用計画である。
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