2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24656165
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
平塚 祐一 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (10431818)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロマシン / ナノマイクロ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原始的な熱ゆらぎ運動系と考えられるインフルエンザウイルスの運動能に着目し、その運動機構を真似た分子機械を作製することである。ウイルスは細胞感染前に細胞表層を移動することが知られており、これが感染力と関連する可能性が示唆されている。しかしウイルスが持つタンパク質には運動に関与するモータータンパク質は存在しない。ウイルス表層に存在するのは宿主細胞に接着また遊離に働く2種のタンパク質のみである。ウイルスはこの2種のタンパク質を使って原始的な運動を作り出していると想像されている。本研究ではこのウイルス様の超分子複合体を人工的に作製しこの仮説を証明する。またこの原理を利用したより髙効率な運動システムを構築し応用展開を図った。 ウイルスが動く原動力はウイルス表面にあるシアル酸結合酵素と分解酵素の作用が原因と考えられる。ウイルス表面の局所領域でそれらの酵素が非対称に局在した場合、分解酵素が結合対象物のシアル酸を分解するとその後そちら側にはそのウイルスが結合できなくなり、ブラウン運動により分解酵素が無い側にウイルスが一方向に移動すると考えられる。そこで本研究ではこの非対称性を人工的に作製した。非対称性を作製するための足場として微小管を利用した。本研究では微小管とシアル酸結合酵素(レクチン)およびシアラーゼを適度な長さのリンカーで連結するため、動かない変異キネシンをリンカー分子として微小管に連結した。このレクチンと微小管複合体をシアル付きガラス表面に結合させることに成功させた。次に微小管上に分解酵素と結合酵素を局所的に配置した複合体をシアル酸付きガラスに結合させ運動を観察したが残念ながらその複合体に動きは観察されなかった。原因は恐らくシアル酸結合力が強すぎてブラウン運動が生じなかったためと考えられる。今後シアル酸結合酵素の種類または濃度を調整して一方向運動を実現させたい。
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Research Products
(1 results)