2012 Fiscal Year Research-status Report
線状物体のモデリングに基づく編物構造のカーリング現象の解明と防止
Project/Area Number |
24656169
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
若松 栄史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60273603)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 真理 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20294184)
倉敷 哲生 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30294028)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 編み物構造 / カーリング / 線状物体 / シミュレーション |
Research Abstract |
平成24年度は、糸の力学的特性の同定と無撚糸の平編み構造におけるカーリング現象の再現を目指して研究を行った。より詳細には、1.平編み構造のモデリングとシミュレーションによるカーリング現象の再現、2.平編み構造における絡み部の詳細なモデリング、3.糸の力学的特性を同定するための装置・器具の試作、を達成目標として研究を推し進めた。以下に項目毎の成果を示す。 1に関しては、編み地の表側にカールする縦カール、および編み地の裏側にカールする横カールをそれぞれ編み目レベルでモデル化し、シミュレーションにより再現できることを確認した。これについては、平成25年度に国内学会にて成果発表を行う予定である。 2に関しては、絡み部における糸の潰れ具合を、非線形弾性体としてモデル化し、実験によりパラメータの同定を行うことで、実際の編み目形状とよく一致した計算結果を得ることができた。これについても、平成25年度に国内学会にて成果発表を行う予定である。 3に関しては、特別な装置を用いることなく、糸を水平方向に突き出して垂れ下がった形状から曲げ剛性を、また、繊維の両端を固定して両端間の距離を縮めて行った時の曲がりくねった形状からねじり剛性を推定する手法を提案し、従来の計測装置で計測した値と大差のない推定値を得ることができた。これについては、既に平成24年度の国内・国際学会にて成果発表を行った。 以上により、糸の力学的特性から、それによって編まれた平編み地の編み地レベルでのカーリングの度合いを予測する準備がほぼ整ったと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度のより詳細な達成目標は、1.平編み構造のモデリングとシミュレーションによるカーリング現象の再現、2.平編み構造における絡み部の詳細なモデリング、3.糸の力学的特性を同定するための装置・器具の試作、であった。これらについては、研究実績の概要に示したように、相応の成果を上げることができた。更に、平成25年度に予定していた編み地レベルでのモデル化も試験的に行い、現在考えている手法でのモデル化が可能であることを確認した。ただし、これらを統合して、無撚糸の力学的特性から、それによって編まれた平編み地のカーリングの度合いを予測すると共に、購入した3Dスキャナ装置を用いて、実際のカーリング形状と比較するまでには至らなかった。これについては、糸同士あるいは布同士の摩擦以外にも、当初想定していなかった、縦カールと横カールの干渉の影響を考慮する必要があることが判明したためである。よって、平成25年度は、当初の予定に加えて、縦カールと横カールの干渉のモデル化に関しても考察を行っていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、撚糸の平編み構造におけるカーリング現象の解明と平編み地全体の形状への影響予測を目指して研究を進める。より具体的には、1.初期ねじれおよび摩擦の大きさとカーリングの度合いとの関係の解明、2.カーリングの平編み地全体への影響予測(縦カールと横カールの干渉の考慮を含む)、3.糸の力学的特性のより簡易な計測方法の検討、を目標とし、可能であれば、4.編み目の非対称編成によるカーリング防止・抑制の実現可能性の検討、も行いたいと考えている。これらの目標達成のため、編み機メーカーにも協力を依頼し、蓄積された知見やノウハウを活用する予定である。以上の成果を統合し、平編み地の編成時に、簡易な計測方法で糸の物性値を同定、カーリングの度合いを推定し、それを防止するように編成のパラメータを調整するという一連の流れを実現できないかについて考察していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初の予定通りの計画を進めていく。
|
Research Products
(4 results)