2012 Fiscal Year Research-status Report
衝撃圧力による細胞間接着タンパク質の発現低下が引き起こす組織崩壊のメカニズム解明
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24656175
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
青村 茂 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (20281248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中楯 浩康 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (10514987)
藤原 敏 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20173487)
角田 陽 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (60224359)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 頭部外傷 / 脳挫傷 / 衝撃圧力 / 毛細血管 / 血管内皮細胞 / 経内皮電気抵抗値 / 血管透過性 / 密着結合 |
Research Abstract |
本研究では、脳挫傷受傷時において、血管の最内層を覆っている血管内皮細胞間の密着結合力が衝撃圧力により弱まり,血管組織が崩壊することにより出血が進むメカニズムを解明することを目的としている. 外傷性脳損傷の一つである脳挫傷は,脳表面や内部の広範囲な出血が特徴であり,血管組織の損傷が 原因である.交通事故などによる頭部外傷時には通常の数倍程度の衝撃圧力が短時間で頭蓋内に発生している.また,頭蓋内は脳実質や脳脊髄液,血液で満たされた非圧縮性の閉鎖空間であり,脳挫滅が発生しない場合においては脳血管を破断させる程の脳組織の変形が発生しにくい構造となっている.血管が機械的に破断する脳挫滅とは異なり,時間の経過と共に出血の範囲が広がり出血量も増すが,血管の組織崩壊と出血の経時的な過程は明らかにされていない背景がある. 本年度は,衝撃圧力負荷装置の開発と経内皮電気抵抗値測定を実施した.本装置は,液体で満たしたシリンダをピストンで圧縮することで正圧(圧縮圧力)と負圧(引張圧力)の両方を出力可能であり,また,ピストンの圧縮に振り子による打撃方法を採用し振り子の重さと高さを変更することで,シリンダ内に発生する衝撃圧力の大きさと持続時間を制御可能である.本測定結果を用いて,細胞の上層と下層に電極を配置し微小交流電圧を加えインピーダンスを計算することで,細胞間の密着結合の機能的変化を調べた.密着結合の強い細胞層は高い電気抵抗値を示すため,衝撃圧力負荷により血管内皮細胞間の密着結合力が低下し経内皮電気抵抗値が減少するかどうかを検討した.その結果,負荷圧力の振幅が大きく,持続時間が短い方がより経内皮電気抵抗値が減少する傾向が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,本年度は衝撃圧力負荷装置を開発した.本装置の出力範囲や再現性といった基礎検討も実施済みであり,本装置の信頼性についても十分に確認した.また,経内皮電気抵抗値測定の手技の確立も同時に進めた.測定に適した細胞培養条件や測定時間を検討した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は実験試料の改良を行う.より脳内に近い環境で経内皮電気抵抗値測定を実施するため,血管内皮細胞間の密着結合の機能を高めるアストロサイトや血管内皮細胞間に接着し密着結合を物理的に支持するペリサイトと血管内皮細胞を共培養することで,衝撃圧力負荷により減少した経内皮電気抵抗値にどのような影響を与えるのかを検討する.また密着結合に関与している細胞間接着タンパク質の発現と衝撃圧力負荷との関連も同時に検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共培養試料の作成のための培養細胞や培養試薬,細胞間接着タンパク質の発現を可視化するための抗体や蛍光試薬,経内皮電気抵抗値測定の消耗品に使用する. 今年度は,細胞培養が効率良く進んだため,脳神経細胞や培養試薬の購入回数が当初計画より少なくなり,直接経費の未使用額が発生した.
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Research Products
(5 results)