2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤本 康孝 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (60313475)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電気機器 / モータ / 分極 |
Research Abstract |
本研究では、従来の電磁モータで一般的に利用されている伝導電流や磁化電流とは異なる、分極電流によるローレンツ力を利用した新しい原理のモータを試作し、検証することを目的としている。 初年度は、提案モータの研究に必要となる実験装置の構築、および、モータの特性の測定を行った。まず、モータの試作に当たって、現在、検討を進めている電磁界解析を、より詳細化し、電流密度と磁束密度を考慮し、鉄心の形状を決定した。モータは、E型コアを向かい合わせた構造で、左右の中心のコアの周囲にリッツ線のコイルを備えている。ギャップ部と直交方向に銅板2枚を対向させ、平板コンデンサとした。鉄心には、高周波での鉄損が比較的少ないフェライトコアを採用した。また、コイルには高周波での表皮効果を考慮してリッツ線を採用した。コイル結線およびコンデンサ極板間距離の変更により共振周波数の変更が可能な構造とした。また、駆動回路としてリニアアンプと整合器を組み合わせた回路を構築した。 まず、予備実験として、試作モータを整合器を介して40W、27.12MHzで駆動した。高周波駆動となるため、反射波を考慮する必要があり、整合器により定在波比(VSWR)1.8、伝送効率約91%での駆動が確認できた。なお、この電力では力学作用は観測できていない。なお、本研究のため、関東総合通信局より高周波利用設備許可を取得した。 次に、試作したモータのインダクタンスと容量を測定し、その周波数依存性を明らかにした。その結果、いくつか課題も明らかになった。コイル間の浮遊容量が無視できず、また、動作周波数におけるインダクタンスが大幅に低下し、空隙部の磁束密度が低下してしまうことが分かった。これらの課題については次年度以降、対策する予定である。 以上の結果について、電気学会産業計測制御/メカトロニクス制御研究会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、実験システムの構築と、開発したモータの基礎特性の測定を目標としており、おおむね当初の目標は達成された。 まず、モータの試作においては、電磁界解析を、より詳細化し、電流密度と磁束密度を考慮し、鉄心の形状を決定した。鉄心には高周波における鉄損が比較的少ないフェライトコアを採用した。また、コイルには高周波での表皮効果を考慮してリッツ線を採用した。さらにモータの発熱対策として、モータコアにウォータジャケットを施し、水冷により冷却を行える構造とした。コイルは、結線を変更できるように構成し、直並列の組み合わせにより、複数のインダクタンス値を実現できるようにした。また、コンデンサを構成する平板電極は極板間距離を可動とし容量を変更できる構造とした。これにより共振周波数の変更が可能となった。モータは、E型コアを向かい合わせた構造とし、左右の中心のコアの周囲にリッツ線のコイルを備えている。ギャップ部と直交方向に銅版2枚を対向させ、平板コンデンサとした。このように当初の計画に沿った試作機を製作することができた。 次に、ワイドレンジのLCRメータを用いて、モータのインピーダンスの測定を行った。しかし、その結果、試作機を改良する必要があることが分かった。 また、モータを駆動する大容量高周波アンプのシステムを構築した。アンプは2段のリニアアンプから構成され、おおむね計画通りのシステムを構築できたが、最終段アンプ-整合器-モータの接続において反射波低減のためのインピーダンス整合に課題があることが分かった。 以上のように、おおむね当初の計画通り研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の結果を踏まえ、以下のように装置の改良を行う。①インピーダンス整合の改善:より大きな電力ではインピーダンス整合が難しいため、整合器の改良を行う。②複数駆動方式の検討:共振電流による駆動のほか、パルス電流による駆動も並行して検討する。③パルス電流による駆動の検討:大きな電流を得るため、コンデンサバンクからのパルス電流発生回路を検討する。④共振周波数の改善:共振周波数が1MHz付近となるよう、コイルのターン数を変更し、インダクタンスを増加させる。これにより、コアの高周波帯での透磁率低下やコイルの浮遊容量の問題を回避する。⑤方形波駆動の回路の検討:より大きな電力による駆動のため、コンバータ回路による駆動を検討する。⑥共振周波数への引き込み回路の検討:モータの共振周波数においてQ値が極めて高くなるため、電源の周波数を共振周波数に精密に合わせることが困難になる。そこで、共振周波数へ引き込みを行う回路を検討する。 以上の検討を行ったうえで、さまざまな材料を対象物体として実験を行う。まず、対象物体の形状、大きさ、および、誘電率によって、コンデンサ容量が変化するため、これをLCRメータで測定する。共振周波数も変動するため、これに合わせて駆動回路を制御し、実験を行う。また、マクスウェルの方程式からローレンツ力を導出する過程で、分極電流や変位電流による発生力の再確認を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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