2012 Fiscal Year Research-status Report
可視光通信により自立・協調した調光を行い省電力を実現するLED照明システム
Project/Area Number |
24656194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
松林 勝志 沖縄工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80239061)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 省電力 / LED照明 / 可視光通信 / ネットワーク / 見える化 |
Research Abstract |
東日本大震災により電力が逼迫し計画停電が実施された。そのため節電に関する意識は高まってきているが,今後もエネルギーリスク(環境負荷,経営管理,安全保障等)の低減をめざし,さらに省電力を推進していく必要がある。 本研究では取り組みやすく効果的な,照明による節電に着目した。今後急速な普及が見込まれるLED照明を利用して照明光そのもので通信を行い,各照明が環境に応じて自立調光し,かつ,室内の全照明が協調して省電力動作させることができる照明システムを提案・開発する。照明光で可視光通信するため,電源接続以外の工事は不要で電波も使用しない。 平成24年度は主にLED照明と操作パネルの開発を行った。当初の計画通り可視光通信強度を保ちつつ調光を行える「I-4PPM-DFRM」伝送方式を実現し,照明下方の明るさを測定するCdSセンサを搭載したLED照明装置を完成させた。可視光通信にはLEDとPDを用いるがそれらは小さな基板にまとめ,各照明で水平4方向に取り付け,12個の照明で網の目ネットワークを構成し,LED照明間通信を実現した。 さらに壁に設置した操作パネルにOSを組込み,クラウドアプリ・クラウドストレージと連携し,タッチ操作による節電率のセットアップや節電状況の「見える化」の機能を実装した。照明が協調して調光する節電アルゴリズムも三種類考案・実装した。一般的な調光モードの他,設定した節電率を必ず実現するモード,可能な限り高い節電率を目指すモードを搭載し,クラウドを介した遠隔操作も実現した。 平成25年度予定の教室に設置する蛍光灯と同等以上の明るさを持つ,可視光通信機能付き照明も前倒しで試作品を完成させ,また平成26年度予定のスマートフォンコントロールについても一部前倒しで開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度実施予定の研究については,その全てを実施することができた。また平成25年度及び,平成26年度実施予定の研究内容の一部について,研究費の前倒し支払いを受けることによって,実施することができたので,当初の計画以上に進展している。 平成24年度の研究計画では,主にLED照明と操作パネルの開発を行うことであった。当初の計画通り可視光通信強度を保ちつつ調光を行える「I-4PPM-DFRM」伝送方式を実現し,照明下方の明るさを測定するCdSセンサを搭載したLED照明装置を完成させた。開発したLED照明は60W電球相当である。この装置を12個製作し,170cm(W)*145cm(D)*200cm(H)の部屋模型に取り付け,網の目状の通信ネットワークを実現した。操作パネルの開発も終え,クラウドと連携して,見える化や遠隔操作を実現し,インテリジェントな節電機能を組み込むことができた。 平成25年度実施予定であった,実際の教室に設置するためのLED照明については,試作を終え,動作テスト中である。さらに平成26年度実施予定のスマートフォンを用いた照明の個別制御についてもWindowsPhone7とFSK技術を用いて試作し,正常に動作させた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,実際の教室に設置するための試作したLED照明(40W型直観蛍光灯2本,6000ルーメン相当)について,その通信機能の改良を行う。動作テストにおいて,横方向のLEDがなくても通信できる場合があった。ノイズ対策をしっかりすれば,隣のLED照明の光が僅かでも当たれば通信でき,横方向のLEDを省略できる可能性が高い。そこで送受信基板のノイズ対策を重点的に行う。その後,改良されたLED照明を合計12個製作し,実際の教室に設置し,運用実証実験を行う。 操作パネルやクラウドを利用した見える化や遠隔操作については,すでに開発済みであるため,そのまま設置する。 来年度は,予定通り数種類のスマートフォンでのコントロールを実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画調書に記した計画,及び,交付申請書から前倒し支払いを受けた分を差し引いた額から基本的に変更はない。前倒し支払いを受けた予算は,教室に取り付ける照明の設置に必要な工事(操作パネルや各照明のマイコンソフトウェア書き換え装置,電源等)に使用したため,その分の支出はない。予定通り,開発のための部品などの消耗品,調査・打ち合わせ・成果発表の旅費,ハードウェア・ソフトウェアの開発補助人件費などに使用する。
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