2013 Fiscal Year Research-status Report
可視光通信により自立・協調した調光を行い省電力を実現するLED照明システム
Project/Area Number |
24656194
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
松林 勝志 東京工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80239061)
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Keywords | 省電力 / LED照明 / 可視光通信 / ネットワーク / 見える化 |
Research Abstract |
東日本大震災により電力が逼迫し計画停電が実施された。そのため節電に関する意識は高まってきているが,今後もエネルギーリスク(環境負荷,経営管理,安全保障等)の低減をめざし,さらに省電力を推進していく必要がある。 本研究では取り組みやすく効果的な,照明による節電に着目した。今後急速な普及が見込まれるLED照明を利用して照明光そのもので通信を行い,各照明が環境に応じて自立調光し,かつ,室内の全照明が協調して省電力動作させることができる照明システムを提案・開発する。照明光で可視光通信するため,電源接続以外の工事は不用で電波も使用しない。 平成25年度は実際の教室に蛍光灯と同等の明るさのLED照明を12個製作し,実際の教室に設置し,運用実験を行う予定であった。ハードウェアについて,消費電流の大きいLEDに対応した回路基板を作り直し動作させたところ,節電率90%(点灯率10%)に限り,可視光通信がうまくいかないトラブルが発生した。点灯率20%以上では問題が無い。送信側回路,受信側回路,それぞれ単体では全く問題は無く,両者を同時に動作させると発生する。アナログ回路のプロを招聘し調査したところ,送信側のI-4PPMスイッチングノイズが100V交流電源を伝わり受信側に影響を与えていることが判明した。そのため受信回路の変更,ノイズ対策などを行い,新しい受信回路を開発した。 教室に設置する照明の開発が遅れたため,次年度開発予定だった,ユーザーによる照度調整を局所的に可能にするためのスマートフォンアプリの開発を先行実施した。Windows Phone7及び,Google Androidで調光するアプリケーションの開発を終えることができ,UIの改良を残すのみとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度実施予定の研究については,その一部を実施することができなかった。しかし,平成26年度実施予定分を先行実施できたので,おおむね順調と判断する。そのためソフトウェア開発中心となったため,予算は後ろ倒しとなっている。 平成25年度予定分が遅れたのは,特定の節電率を設定したときに発生する,通信の不具合である。その不具合の原因追及とハードウェアの改良にたくさんの時間を費やし,アナログ回路のコンサルタントと共に原因を追及した。現在,問題の原因は判明し,回路を修正して,基板も発注・納品されたので,今後急ピッチで研究を進めたい。なお,平成26年度実施予定だった,スマートフォンコントローラについては逆に先行して開発を進めることができており,UIの改良のみを残すだけとなっている。また照明間距離が近くても遠くても一定の受信強度を保ち,通信のための横方向のLEDを省略することも平成25年度の目標の一つであったが,ハードウェアの改良において技術的な目処を立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,昨年度達成できなかった,実際の教室に設置するためのLED照明(40W型直観蛍光灯2本,6000ルーメン相当)について,できるだけ早く動作確認をし,設置作業を終える。点灯率10%での動作不具合の原因追及において,照明間距離が近くても遠くても安定して受信する技術も新規に開発したハードウェアに組み込むことができたので,その動作確認も同時に行う予定である。操作パネルやクラウドを利用した見える化や遠隔操作については,すでに開発済みであるため,そのまま教室に設置し,運用実験を開始する。 スマートフォンコントローラについては,FSK方式を用いてスマートフォンと接続する通信モジュールを開発済みであるが,スマートフォンのOS側で,USBホスト機能が普及してきたため,USB方式で可視光通信モジュールと接続し,照明と通信する方法に変更すると共に,UIを使い易く改良する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実際の教室に設置するためのLED照明(40W型直観蛍光灯2本,6000ルーメン相当)について開発が遅れたことが,次年度使用額が生じた理由である。節電率90%(点灯率10%)の時に限り可視光通信ができなくなる不具合が統合テストで発生し,その原因追及と対策にかなりの時間を要した。そのため開発が遅れ,必要な台数(12台)のLED照明の製作ができなかった。また逆に平成26年度実施予定のスマートフォンコントローラについては先行して研究を進めることができた。相対的にソフトウェアの開発比重が増すこととなり,次年度使用額が生じることとなった。 点灯率10%の時に発生する通信の不具合については,対策した回路を製作し,動作テストも良好な結果が出ている。基板の開発は終えたので実装部品の他,実際に教室に設置するための材料や必要な工事の発注など,早急に進めていきたい。またソフトウェアの一部については外注も検討している。また学会発表等も予定するなど,昨年度支出できなかった分については,今年度すべて支出し,研究目的を達成できる見込みである。
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