2013 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物を用いた電界効果型スイッチの動作実証と輸送機構の解明
Project/Area Number |
24656200
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥海 明 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50323530)
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Keywords | 酸化物 / TiO2 / TFT / VO2 / 金属・絶縁体転移 / 移動度 |
Research Abstract |
電界効果型スイッチ用材料としてTiO2とVO2を選択し、それぞれに対して下記のように研究をすすめ、それぞれ大きな進捗を得た。 TiO2に関しては、Si基板上熱酸化SiO2の上にPLD成膜したTiO2をバックゲート型でFET動作を行いその特性を調べた。その際に、PLD製膜後の熱処理雰囲気および温度を制御することによって、アモルファスSiO2上に形成したTiO2 FETとしては移動度が10cm2/Vsecを超える極めて高性能特性を実証できた。このときのしきい値電圧もほぼ理想的な値を実現できた。またこの大きな改善の起源を調べるために、光伝導特性を調べた。すると、フォトンエネルギーが約2eV付近のところでピークを与える光伝導が観測され、移動度の高い膜はこのピークが極めて小さいことが明らかになった。これはギャップ内準位からの励起による光伝導であると思われ、この準位を抑えることが特性の向上に対して極めて重要であることがわかった。一方、この膜を酸あるいはアルカリ溶液に浸漬させることで、極めて電気伝導度の高い金属的な膜を形成することができることがわかった。この場合には、ある種の電池反応が起きていることがわかり、TiO2表面の処理等を考えて行く上で重要なポイントであることを示すことが出来た。 一方、VO2に関しては、単結晶TiO2基板上にVO2をエピタキシャルに成長し、膜厚効果を詳細に調べた。温度に対する金属・絶縁体転移は薄膜化とともにシャープな転移を示すようになっていくことがわかった。また表面のドメイン観察を丹念に行ない薄膜化とともにマイクロクラックは減少し、15nm以下の膜厚では等方的でローカルな歪みのみが存在できることがわかった。明確な電界効果は観測されていないが,VO2の特性自体は高性能の膜が実現できたと考えられる。
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