2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656203
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 明 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40220363)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 太陽電池 / シリコン / ナノワイヤー / 量子効果 |
Research Abstract |
現在、高効率太陽電池を実現するため、異なるバンドギャップを積層させたタンデム型太陽電池が研究されている。例えば2層タンデム太陽電池を考えた場合、トップセルのバンドギャップを1.7~1.8eV、ボトムセルのバンドギャップを1.1eVとすることで変換効率30%を超える太陽電池が実現できる。現在広く普及している結晶Si系太陽電池に用いられているSi のバンドギャップは約1.1eVである。従って、バンドギャップ1.7~1.8eVを有する材料と組み合わせることにより、理想的な2層タンデム太陽電池を実現することができる。そこで本研究では、Siを直径3nm程度の柱状にナノ加工(Si Nano-Wire: Si NW)する技術を開発し、量子効果によりバンドギャップを1.7eV程度まで広げたSi NW太陽電池を実現するための基礎技術を確立することを目的に研究を遂行した。 Si NWは、金属誘起エッチング(Metal-Assisted Etching: MAE)法を用いて作製した。このとき触媒となるAgは無電解メッキにより堆積した。しかしながら無電解メッキでは、ランダムにAgが堆積するため、得られたSi NWの直径は不揃いであった。そこで直径が揃ったシリカナノ粒子をマスクに用いる方法を考案した。最初にSi基板はエチレンジアミンを用いてアミノ基(水溶液中で正に帯電)で終端、直径30nmのシリカナノ粒子はカルボキシル基(水溶液中で負に帯電)で終端した。これにより、シリカナノ粒子は静電反発力により凝集を防ぎながら、シリカナノ粒子とSi基板間には静電引力が働くことで、Si基板上にシリカナノ粒子を並べることに成功した。次にシリカナノ粒子をマスクとしてAg薄膜をスパッタ、MAEを行った。これにより、Agが付着していないシリカナノ粒子直下のみにSiが残り、直径30nmのSi NWアレイの作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
MAE法によりSi NWの作製に成功したため、次に太陽電池応用を図った。太陽電池は、p型Si基板上に形成したSi NW上に、プラズマCVD法を用いてn型アモルファスSiを堆積して作製した。変換効率は低いものの、光照射により開放電圧110 mVが得られ、Si NWが太陽電池として動作することが明瞭に示された。さらに、この太陽電池の収集効率のバイアス依存性を調べたところ、逆バイアス印加時に収集効率の向上が見られ、Si NWのパッシベーション技術の開発が重要であることが明確となり、次年度に向けた課題を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Si NW太陽電池の特性から、Si NWの表面積が広いため、光励起された少数キャリアである電子がSi NW側面の欠陥により捕獲され、再結合することで外部に光電流として取り出されていないことが示された。従ってSi NW太陽電池の実現には、表面パッシベーション技術の開発が重要である。従来、パッシベーション膜は、プラズマCVD法などにより作製されてきた。しかしながらプラズマCVD法では、膜の前駆体は気相で生成し、基板に降り積もることで堆積する。このためこの手法では、ナノワイヤー内部までの膜堆積を期待することはできない。これを改善するため本研究では、原子層成長(Atomic Layer Deposition: ALD)法に着目して研究を遂行する。ALD法では、表面反応を利用して膜堆積が進む。このため、Si NWの内部までパッシベーション膜が堆積されると期待される。具体的には、ALD法によるAl2O3膜をSi NW太陽電池のパッシベーション膜として利用することを試みる。 本年度開発したシリカナノ粒子をマスクに用いたMAE法によるSi NW形成においても、その直径は30nm程度である。そこで、熱酸化とエッチングを繰り返すことでSi NWの直径を3nm程度まで細線化することを試み、量子効果によりバンドギャップが制御可能か否かを実証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Si NW作製のための消耗品費として20万円 学会等へ参加費として50万円 学生へのRA経費などの謝金として35万円 その他、Si NW評価費として15万円
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Research Products
(10 results)