2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656214
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
藤澤 浩訓 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30285340)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ナノ強誘電体 / 自発分極 / サイズ依存性 / SPM |
Research Abstract |
本年度は走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いた自発分極の測定技術の確立に注力するとともに,それらを用いたナノ強誘電体の自発分極のサイズ依存性の測定を行い,以下のような成果を得た. ・測定系の浮遊容量を低減するために,Q-V変換回路の入力端子の面積を縮小するとともに,シールドを行い,従来の浮遊容量200fFを100fFまで減少させることに成功した.また,電解研磨法によって直径20-30μmのPt及びCu細線から,探針高さが数百μmかつ先端の曲率半径が50nm以下の金属探針を得ることに成功した.しかし,これらの探針では探針高さの増大に伴うたわみとねじれの増大により試料接触時の原子間力を安定して検知できず,安定した機械的/電気的接触を得ることはできなかった.一方,これらの金属探針では予想される浮遊容量は数fFであるのに対し,約50fFの浮遊容量が観察され,これはQ-V変換回路の回路基板に起因することが示唆された.そのため,回路基板に起因する浮遊容量のさらなる低減を行うべく,再度の回路基板の設計と試作評価を進めている. ・データ処理の手法について検討を行い,繰り返し測定と平均化処理の組み合わせではリーク電流のばらつきによって大きな誤差が生じることを明らかにした.これを解決するべく,個々の電荷応答波形に含まれるリーク電流を評価・解析することで,分極反転電荷を検出する手法を新たに開発した. ・開発した測定系を用いて,高さ数nm,幅数10nmのPbTiO3ナノプレートの自発分極とそのサイズ依存性を評価することに成功した.その結果,PbTiO3ナノプレートの自発分極は幅ではなく,その高さに依存し,高さ5nmまでは薄膜と同等であり,それ以下では急激に減少することを見いだした.しかし,最大で±100%のばらつきを含むため,さらなる浮遊容量の低減による測定精度の向上が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
いくつかの問題は生じたものの,それらを解決しつつ,本年度の研究実施計画を予定通り実施でき,実際にナノ強誘電体の自発分極のサイズ依存性を測定するところまでこぎ着けたことから,当初計画よりも順調に進んでいると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度には,浮遊容量低減のための切り札と考えていた金属探針の作製には成功したものの,試料への接触安定性が不十分であるという問題が発生し,探針高さの大きな金属探針によって浮遊容量を低減することは困難であることが判明した.しかし,その過程で測定回路と探針を一体化した基板に改良の余地があることが判明したため,今年度は回路基板の改良による浮遊容量の低減に注力することで,さらなる測定精度の向上を目指す.さらに研究実施計画にしたがって,ナノ強誘電体のサイズ依存性をより高精度に明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)