2013 Fiscal Year Annual Research Report
CNT可飽和吸収体と光変調器を併用したハイブリッドモード同期レーザの開発
Project/Area Number |
24656222
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 真人 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10333890)
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Keywords | モード同期レーザ / ハイブリッドモード同期 / 可飽和吸収体 |
Research Abstract |
H25年度は、新たにグラフェンを用いた可飽和吸収体(SA: Saturable Absorber)を作製し、それを用いた受動モード同期レーザの性能評価を行なった。また、本課題で試作したSAならびに市販品の半導体SAを使用して、ハイブリッドモード同期レーザによるGHz帯高繰返しフェムト秒パルスの発生実験を行った。 まずグラフェンを用いた受動モード同期レーザ実験において、パリマー材としてポリビニルアルコールを用いたSAを試作し、これを用いて繰返し周波数6.7MHz、パルス幅570fsのフェムト秒パルスの発生に成功した。しかし、その耐損傷閾値が低く、最大出力電力は約10mWであった。この値は、H24年度に試作したCNTを用いて得られた同電力31mWと比較して3分の1の数値である。以上より、ハイブリッドモード同期レーザへ適用するSAとしてCNTを採用することにした。 つぎにハイブリッドモード同期レーザ実験において、半導体SAを使用した際に、繰返し周波数約10GHz、パルス幅480fsのフェムト秒パルスの生成に成功した。また高調波モード同期をオフにした受動モード同期動作時に、繰り返し周波数24MHz、パルス幅500fsのフェムト秒パルスが得られることを確認した。これらの結果より、高調波モード同期の次数を制御することで、繰返し周波数が数10MHzから10GHzの範囲で可変のフェムト秒パルスの生成が原理的に可能であることを示した。一方、本課題で試作したCNTの損傷閾値は60mWであり、目標とする10GHzの高繰返しフェムト秒パルスを生成するために素子に求められる損傷閾値100mW(計算値)を達することが困難であった。この結果より、CNTを用いたハイブリッドモード同期レーザにより生成可能なフェムト秒パルス列の繰返し周波数は5GHz程度に制限されることがわかった。
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