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2012 Fiscal Year Research-status Report

デジタル・コヒーレント光受信器を用いた波長パス光ネットワークの研究

Research Project

Project/Area Number 24656223
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

菊池 和朗  東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50134458)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords情報通信工学 / フォトニックネットワーク
Research Abstract

矩形状バンドパス特性を持つナイキストフィルタは,符号間干渉なく,光信号帯域をシンボルレートまで狭帯域化できる。このフィルタを用いて光信号帯域を整形し,シンボルレートに等しい周波数間隔で隙間なく波長多重する方式は,ナイキストWDMと呼ばれる。しかしこの方式では,送信用レーザのわずかな周波数ドリフトにより,隣接チャンネル間のクロストークが避けられない。
24年度は,ナイキストWDM信号の波長多重分離を行うために,クロストークを含む所望チャンネルの全帯域に対して適応FIRフィルタを作用させる方式を提案した。まず,この方式によりクロストークペナルティーを最小化できることを,シミュレーションにより示した。変調フォーマットとして,10 Gsymbol/s QPSK単一偏波信号を仮定し,2つの独立なチャンネルを用いて,クロストークによるパワーペナルティーを計算した。2つのチャンネルのパワーを同一にし,周波数間隔を可変にすることにより,クロストーク量を変化させた。送信信号スペクトルは,ロールオフ率0のナイキストフィルタを用いて矩形に整形した。
受信端では,雑音指数3dBの理想前置増幅器を用い,デジタルコヒーレント光受信器で復調を行った。所望信号を全帯域受信して適応FIRフィルタを用いた場合に,パワーペナルティーが最小になることがわかった。適応フィルタ振幅の制御によって,クロストーク抑圧によるパワーペナルティーの改善と信号帯域の削減によるパワーペナルティーの劣化が最適に調整され,クロストークの影響が最小になったと考えられる。この結果は実験によっても,確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

位相・偏波ダイバーシティ光回路は,当初計画通り,平面石英光回路(PLC)で作製した。波長可変LOは,外部波長基準を参照することにより,ITUグリッドにその波長を固定する予定であったが,その実現には至らず,次年度の課題として残った。現状では信号光と局発光(LO)の周波数オフセットの変動が避けられないが,今回はこれを手動で制御することにより実験を行った。
受信器出力である各偏波成分に対する光複素振幅の同相,直交位相成分は,4チャンネルAD変換器によりデジタルデータに変換された後,DSP回路に送られデジタル信号処理される。今年度は,適応FIRフィルタを用いてナイキストWDM信号の波長多重分離を行うことにより,チャネル間クロストークの影響を最小化するアルゴリズムを開発した。本方法の有効性は,シミュレーションおよび実験により検証された。
以上のように,LOの波長制御を除いては,研究はおおむね当初計画通りに進展している。

Strategy for Future Research Activity

波長可変LOは,外部波長基準を参照することにより,ITUグリッドにその波長を固定する。外部波長基準としては,温度制御されたエタロンを検討している。エタロンの最大透過波長にレーザ波長をロックするシステムを構築することにより,レーザの絶対周波数を10MHz程度に安定化することを目指す。これと同時に同一基板から作製された温度制御エタロンを用いて,送信レーザの波長安定化も試みる。信号レーザとLOレーザの絶対波長安定化により,オフセット周波数を10MHzオーダまで抑圧する。
オフセット周波数が抑圧されていれば,デジタル領域でのナイキストフィルタを用いて,ナイキストWDM信号の切れの良い波長多重分離が可能となると考えられる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

温度制御されたエタロンを用いた外部波長基準の試作は24年度には実施されず,25年度に延期された。このため,180万円が25年度に繰り越された。25年度は,この繰越金と25年度交付予定の100万円を,以下のように使用する予定である。
(1)エタロン,恒温槽,光ファイバ結合など含むエタロンモジュールを2セット外注する。その見積額は250万円である。
(2)高精度温度制御回路を自作する。電子回路部品費に30万円を計上する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] ディジタルコヒーレント光受信器における適応等化技術2013

    • Author(s)
      菊池和朗
    • Journal Title

      電子情報通信学会論文誌(B)

      Volume: vol.J96-B, no.3 Pages: 212-219

    • URL

      http://search.ieice.org/bin/index.php?category=B&lang=J&curr=1

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ナイキストWDM信号におけるチャンネル間クロストークペナルティーの適応FIRフィルタによる抑圧2013

    • Author(s)
      平岡大希,韓燦教, 菊池和朗
    • Organizer
      電子情報通信学会総合大会
    • Place of Presentation
      岐阜大学
    • Year and Date
      20130319-20130322
  • [Presentation] Principle of adaptive-filter-based signal processing in digital coherent receivers2012

    • Author(s)
      K. Kikuchi
    • Organizer
      European Conference on Optical Communication (ECOC2012)
    • Place of Presentation
      Amsterdam, Netherland
    • Year and Date
      20120916-20120920
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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