2013 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル・コヒーレント光受信器を用いた波長パス光ネットワークの研究
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24656223
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 和朗 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50134458)
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Keywords | 情報通信工学 / フォトニックネットワーク |
Research Abstract |
矩形状バンドパス特性を持つナイキストフィルタは,符号間干渉なく,光信号帯域をシンボルレートまで狭帯域化できる。このフィルタを用いて光信号帯域を整形し,シンボルレートに等しい周波数間隔で隙間なく波長多重する方式は,ナイキストWDMと呼ばれる。 ナイキストWDM信号を波長多重分離するには,受信端においても急峻なナイキストフィルタが必要である。このためには,平成24年度に報告したように,タップ数の大きいFIRフィルタが用いられてきた。一方,ディジタルコヒーレント光受信器では信号光とLO光の周波数オフセットが避けられない。FIRフィルタを適応的に動作させれば,この周波数オフセットを補償することができるが,タップ数が大きい場合,タップ係数の収束が極めて遅くなるという技術的困難が避けられなかった。 平成25年度はこの問題を解決するために,以下のディジタル信号処理アルゴリズムを提案した。まずトレーニングモードにおいて,小さいタップ数を持つ適応FIRフィルタを用いて波長多重分離,偏波多重分離,オフセット周波数推定を行う。次にトラッキングモードに移行し,推定したオフセット周波数に応じてパスバンドをシフトした固定ナイキストフィルタを用いて,波長チャンネル分離を精密に行う。最後に適応FIR フィルタにより,偏波多重分離,信号等化を行う。 提案したアルゴリズムの有効性は,3チャンネル波長多重・偏波多重16QAMナイキストWDM信号の復調実験により実証された。オフセット周波数の許容範囲は+-2GHzであった。
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