2013 Fiscal Year Annual Research Report
フォノン援用エネルギー上方変換を用いた革新的色素増感型太陽電池の創製
Project/Area Number |
24656224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八井 崇 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80505248)
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Keywords | ドレスト光子 / 色素増感太陽電池 / ナノ構造 |
Research Abstract |
無限に供給される太陽光に最も多く含まれる可視光から赤外光にかけての波長域の光の有効活用が重要である。半導体における電子の取り出し効率を向上させるために、表面をナノ構造化し、フォノン援用過程を利用することで、従来透過してしまう光を有効利用する手法について検討した。 初年度は、溶液表面での電気化学反応の高効率化を行った。電気化学反応を効率化するための手法として近接場光効果を適用した。溶媒配向に伴う活性化エネルギーを、白金電極への光照射で生じる近接場効果によって振動準位を活用することで乗り越えることで,電気化学過程においても反応活性化が期待できる。 実験では白金黒電極を利用し,フェリシアンシアン水溶液中でのイオン-電極間電子移動過程において電極への光照射を行った.入射光波長は試料溶液の吸収端よりも長いものとして532nmのものを選択した.測定の結果,電流増加率が入射光強度に対して2次の依存性を示した.外場としての光照射に対して高次の摂動応答が見られたことは近接場光効果に特有の現象であると考えられる.さらに白金黒めっきを作製する際にも,光照射をしながら堆積した場合には,自己相似性が全体的に生じるなどの微細構造の違いが見られた。 上記実績を踏まえて、最終年度に、色素増感太陽電池を試作し、近接場光効果による光電変換効率の評価を行った。電極には様々な粒径を有するTiO2を利用し、有機色素増感太陽電池を作製したところ、TiO2の粒径を約50nmから10nm程度にすることによって、可視波長域における光電変換効率が3倍以上向上した。さらに、平面TiO2を用いた場合に感度を有しない、赤外光領域において光誘起電流が観測された。このように従来利用されていない、長波長の光が利用できたことは、近接場光の最大の特長であるエネルギー上方変換の効果を活用できた証拠であると言える。
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Research Products
(19 results)