2012 Fiscal Year Annual Research Report
マルチタップ光電荷変調素子による蛍光相関分光を用いた糖鎖チップの基礎研究
Project/Area Number |
24656228
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
川人 祥二 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (40204763)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 蛍光相関分光 / 撮像デバイス / 糖鎖チップ / ロックインピクセル |
Research Abstract |
本研究では、感染症の初期診断を簡便かつ安価な装置で行うための糖鎖チップの実現を最終的な目的とし、糖鎖の状態変化(ウイルス等との結合の有無)を半導体素子を用いた蛍光相関分光により検出する手法について研究を行った。これは、マルチタップ光電荷変調素子の出力から、蛍光を発する分子のブラウン運動による蛍光ゆらぎのパワースペクトラムを求め、自己相関関数を計算することで蛍光相関分光を行うものである。空乏化した半導体中の電界制御を用いて1個の光電子を高速に移動させながら、繰り返し信号の蓄積を行う電荷変調構造によって、極微弱光に対しても高いSN比を実現することができる。この電荷変調構造として、本研究者が提案したラテラル電界制御電荷変調素子構造を応用することで、マルチタップの電荷変調素子が実現できると考え、その基本動作原理を試作によって確認するため、4タップの電荷変調素子を画素内に含むCMOS撮像デバイスを0.11um CMOSセンサプロセスを用いて試作した。1光電子に対して高速な電荷転送を実現するため、デバイスシミュレーションを用いて候補となる素子形状、サイズ、素子駆動電圧条件を決定した。その結果、30ns以内に完全転送が可能な構造が実現可能であることが明らかとなった。単位画素を5.6um x 5.6um角とし、1×45画素からなるアレイを単位として、フォトダイオードサイズ、蓄積ダイオードサイズを変えた4種類のアレイの試作を完了した。今後、蛍光相関分光撮像デバイスとしての詳細な性能を評価する上での基礎を確立することができた。
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