2012 Fiscal Year Research-status Report
電界による磁気スイッチングと超低電力メモリデバイスへの展開
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24656229
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 剛志 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50303665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 聡 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60151742)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 電子・電気材料 / データストレージ / 磁性 |
Research Abstract |
垂直磁気異方性を示すBi置換ガーネット((BiLu)3F5O12および(BiY)3(FeAl)5O12.膜厚はともに4 um)を液相エピタキシー法により作製した.この膜上にAl電極を光リソグラフィーにより形成し,電界を印加した際の磁区構造を偏光顕微鏡により観測した.無磁場では,ガーネットの磁区構造は迷路磁区構造となっていたが,約100 Oeの磁界を垂直方向に印加することで,間隔の広いストライプ磁区構造となった.この状態で150kV/cmの電界を膜面内方向に印加し,電界印加前後での磁区構造を観測した.今後は,上述の観測における電界勾配依存性を検討していく.また,Co系超薄膜の電界勾配よる磁壁移動を検討するため,スパッタ法によりPt/Co/Ptサンドイッチ膜を作製した.成膜条件の検討により,大きな垂直磁気異方性と小さな磁壁抗磁力(保磁力300 Oe程度)の膜を得た.今後,電界勾配印加用電極を配置し,電界による磁壁移動を検証する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に行う予定であった,フォトリソグラフィー加工で必要となるマスクを描画するレーザー露光装置のトラブルなどにより,ガーネット膜への電界印加の実験に予想より多くの時間を費やした.このため,本年度予定していた希土類系二層膜の微細加工まで進むことができず,微細加工二層膜への電界印加による界面磁壁構造への影響を調査することができなかった.なお,上述のトラブルは既に解消されており,本年度はこれらの検討を行い,本研究の目的となる電界印加による磁壁制御の基礎的知見が得られるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
1. Bi置換ガーネットおよびCo超薄膜への電界勾配印加による磁区構造の変化 昨年度作製したBi置換ガーネットおよびCo系超薄膜に電界勾配を印加するための電極を作製し,電界による磁壁移動を検討する.Co超薄膜の場合,超薄膜上にMgO絶縁層を形成し,その上に2枚の電極を加える.膜法線方向の磁界を印加し,2枚の電極の中間に磁壁が存在する状況を作り出し,2枚の電極に異なる電圧を印加することで電極間に電界勾配を印加する.これによる磁壁移動を光学顕微鏡および異常ホール効果により検出する. 3. 希土類-遷移金属交換結合膜の作製と電界による磁壁制御 磁気異方性の異なる希土類-遷移金属膜を積層させたGdFeCo/TbFeCo膜をマグネトロンスパッタ法により作成し,その磁気特性を評価することで,界面磁壁の有無を確認する.二層膜の組成,膜厚の調整により界面磁壁を形成する膜構成を検討する.次に,二層膜を微細加工することで電界印加電極を作製し,電界による磁化方向の変化を磁気力顕微鏡および二層膜上部に配置した磁気トンネル接合により観測する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度,研究進捗の遅れから希土類-遷移金属系材料の成膜とその微細加工まで進むことができなかった.これらについての検討を進めるため,希土類系スパッタリング原料の購入(1枚300千円程度)を行う.また,これまで同様,サンプル作製のためのSi基板(20枚200千円程度),スパッタリング用プロセスガス(Ar,Kr),基板洗浄用および微細加工用薬品なども計画通り購入する.研究成果を国内・国際会議などで発表するための旅費,論文出版費なども予定通り支出する.
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