2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656241
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森川 博之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (50242011)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 同一チャネル全二重無線通信 / アンテナ / アイソレーション |
Research Abstract |
これまでの同一チャネル全二重無線通信技術では,自ノードの受信アンテナへの信号の抑制のための相殺的干渉性能と,他ノードへの送信のための遠方界特性を考慮し,送信電力の異なる複数送信アンテナを利用して同一チャネル全二重無線通信を実現していた.したがって,パッシブ素子の個体差を吸収するために,人手による微調整が必須であった. 同一チャネル全二重無線通信に関する既存研究では,複数送信アンテナによる相殺的干渉を利用しているため,アンテナごとに取り付けられたパッシブ素子の個体差を吸収しなければならず,人手による微調整が必須であった.大規模FPGAを利用した自動調整手法も提案されているものの,計算量が多く,ラップトップPCなどの小型デバイスへの導入は困難である.また,衝突検知やバックオフなど,MAC層についての検討は行われておらず,同一チャネル全二重無線通信の有効性を最大限に活用しきれていなかった. このような課題に向け,今年度は,同一チャネル全二重無線通信の実現に向けて,個体差の影響の除去が最重要の課題であるとの認識のもと,個体差の調整が可能なアンテナの設計を行った.具体的には,送受信各1本のダイポールアンテナ間に共振器構造を配置したモデルの設計を行い,シミュレーション評価によって約70dBのアイソレーションが確保できることを明らかにし,共振器構造のパラメータを調整することで,アイソレーションが確保できる周波数帯を調整することが可能であることを示した. また,電波暗箱内での初期的実装によって,60dB程度のアイソレーションを確保可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
送受信間における相殺的干渉性能を実現するアンテナを設計し,シミュレーションおよび実装により想定通りの性能を確認したため.
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Strategy for Future Research Activity |
1.調整を不要とする干渉抑制技術の開発 初年度に設計を行った干渉抑制技術の開発を行い,周波数を変化させた場合の干渉除去干渉抑制性能を評価する.また,シミュレーションでは計測できない波形歪みを考慮した回路パターンの詳細な設計を行う. 2.帯域利用効率を向上させるMAC層の開発 初年度に設計を行ったMAC層の実装をWARP v3上に行い,処理遅延の評価を行う.また,電力強度による衝突検知手法の閾値の最適化を行う. 3.テストベッド上での実験検証 平成24年度の研究実績および1. ~ 2. で開発した同一チャネル全二重無線通信技術を用いて,スター型トポロジによるテストベッドを構築し,実トラフィックに対する実効スループットや遅延の評価を行う.テストベッドは4台のクライアントPCとアクセスポイントを模擬する1台のPCから構成される.OSとしてLinuxを用い,TUN/TAPを利用した仮想デバイスドライバを実装することで,WebブラウジングやVoIPなどの複数の実トラフィックまでをも対象とする.2ヶ月程度実トラフィックの記録を行い,詳細な性能評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【ソフトウェア無線開発用デバイス】 同一チャネル全二重無線通信技術の実装を行うためのソフトウェア無線デバイス 【ソフトウェア無線デバイス】 同一チャネル全二重無線通信技術の実装を行うためのソフトウェア無線デバイス 【評価実験用無線デバイス】 同一チャネル全二重無線通信技術の性能を評価する無線デバイスのテストベッドとしてのラップトップPC 【電子部品】 開発に必要となるアンテナやカプラ,基板,RF部品などの電子部品
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