2012 Fiscal Year Research-status Report
無線フィードバック制御システムにおけるビヨンド・コグニティブ無線
Project/Area Number |
24656243
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
原 晋介 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80228618)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | コグニティブ無線 / フィードバック制御 / キャリアセンス / 制御器 / プラント |
Research Abstract |
制御器とプラントは,フィードバック制御システムの構成要素である.それらの間でやりとりされる,制御器からの制御情報およびプラントからのセンス情報は,内容の重要度を明に示さなくても,それらの時間差分を観測すれば容易に推定できる.今年度は,PID (Proportional, Integral and Differential)制御を無線で行っているシステムが,ある閉じられた空間に多数存在する場合を対象として,自システムの情報差分から,パケットの送信間隔制御を行うModest CSMA (Carrier Sense Multiple Access)法を提案し,その制御特性を計算機シミュレーションにより評価し,Modest CSMA法の有効性を明らかにした.また,無線の同報性を利用し,他システムの情報差分と自システムの情報差分を比較してパケットの送信間隔制御を行うModerate CSMA法を提案し,その制御特性を計算機シミュレーションにより評価し,Modest CSMA法の有効性を明らかにした.さらに,回転倒立振子を無線で最適(カルマン)制御しているシステムにModest CSMA法を適用し,その制御特性を計算機シミュレーションにより評価した. 一方,無線制御では,正確な制御のために,制御器とプラント間で正確な時刻同期が必要となる.特に,制御器とプラントが動く場合,それらの位置を自律分散的に推定し,それらの間の伝搬遅延を考慮に入れた時刻同期法を使うことが必要となる.今年度は,正確な時刻同期の確立のために,複数のロボットが互いの位置を推定し合う状況を設定し,ロボットの移動距離情報を使って位置推定問題を解く新しい方法を提案し,その推定精度向上効果を計算機シミュレーションと実験により明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物理レイヤで得られる「無線通信路の状況」から,アプリケーションレイヤで得られる「情報の重要度」を用いて無線リソースマネージメントを行うことを究極のクロスレイヤ最適化と呼び,それを行う場合に,アプリケーションをフィードバック制御に限定すれば,「情報の重要度」は明に示さなくても推定できる,というのが本研究の柱である.まず,アプリケーションとしてPID制御を対象にした場合は,大きな研究成果が得られた.PID制御で送受信されるデータの差分だけから情報の重要度はうまく推定でき,自システムの情報差分を考慮するModest CSMA法は,従来のCSMA法よりも制御特性を改善できることを明らかにした.また,他システムの情報差分と自システムの情報差分の両方を考慮するModerate CSMA法も,従来のCSMA法よりも制御特性を改善できることを明らかにしたが,Modest CSMA法とModerate CSMA法との間で,制御特性の差があまり大きくなかった.これは,Moderate CSMA法のスケジューリングにはまだ改善の余地があることを示している. 一方,アプリケーションとして最適制御を対象にした場合は,問題点が浮上した.最適制御では最適利得を前もって計算するために,パケットの送信間隔は固定しておきたい.この意味で,それを可能にする時間分割多重アクセス(Time Division Multiple Access; TDMA)法は,集中制御を必要とするが,最適制御に向いている.しかし,CSMA法では,キャリアをセンスしてから通信路の状況によってパケットの送信間隔が確率的に決定されるので,最適利得を前もって計算することができない.従って,CSMA法は,純粋な対等分散で動作できるが,最適制御に向いていないかもしれない.このような問題点があることがわかったことも大きな研究成果である.
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Strategy for Future Research Activity |
物理レイヤで得られる「無線通信路の状況」から,アプリケーションレイヤで得られる「情報の重要度」を用いて無線リソースマネージメントを行うことを究極のクロスレイヤ最適化と呼び,それを行う場合に,アプリケーションをフィードバック制御に限定すれば,「情報の重要度」は明に示さなくても推定できる,というのが本研究の柱である.まず,アプリケーションとしてPID制御を対象にした場合は,大きな研究成果が得られた.PID制御で送受信されるデータの差分だけから情報の重要度はうまく推定でき,自システムの情報差分を考慮するModest CSMA法は,従来のCSMA法よりも制御特性を改善できることを明らかにした.また,他システムの情報差分と自システムの情報差分の両方を考慮するModerate CSMA法も,従来のCSMA法よりも制御特性を改善できることを明らかにしたが,Modest CSMA法とModerate CSMA法との間で,制御特性の差があまり大きくなかった.これは,Moderate CSMA法のスケジューリングにはまだ改善の余地があることを示している. 一方,アプリケーションとして最適制御を対象にした場合は,問題点が浮上した.最適制御では最適利得を前もって計算するために,パケットの送信間隔は固定しておきたい.この意味で,それを可能にする時間分割多重アクセス(Time Division Multiple Access; TDMA)法は,集中制御を必要とするが,最適制御に向いている.しかし,CSMA法では,キャリアをセンスしてから通信路の状況によってパケットの送信間隔が確率的に決定されるので,最適利得を前もって計算することができない.従って,CSMA法は,純粋な対等分散で動作できるが,最適制御に向いていないかもしれない.このような問題点があることがわかったことも大きな研究成果である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし.
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