2012 Fiscal Year Research-status Report
気液隔膜における生体分子とガス分子の相互作用に基づく超高感度ガスセンサ
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24656252
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
工藤 寛之 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (70329118)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | バイオセンサ / ガスセンサ |
Research Abstract |
タンパク質である酵素の基質特異性を利用しガス中の対象成分と反応させることで、感度とガス選択性に優れた生化学式のガスセンサを開発した。 本センサの性質上、最も重要な要素は感応部の構造である。本年度は、まず感応部の構造としてガラスやプラスチック材料にてマイクロフローセルを作製した。酵素を固定化したガス感応膜にフローチャネルを介してホルムアルデヒドの検出に必要な酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を含むリン酸緩衝液を供給することを検討した。検討の結果、PMMA及びシリコーンを同心円状に配したフローセルを用い、光ファイバプローブに装着することで適切な動作を得ることができた。このフローセルに、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと2エチルヘキシルメタクリレートの共重合体を用いてホルムアルデヒド脱水酵素を固定化した多孔質膜を装着し、感応部を構成したところ、ホルムアルデヒドガスの供給により、NAD+が還元され、NADHを生成することが確認された。 このNADHの検出感度を向上させる方法についても取り組んだ。複数のLEDを独立制御可能な光源を開発し、4灯のLEDより励起光を光ファイバプローブに導入する光ファイバ光学系を構築した。プローブ近傍にて発生したNADHの蛍光を同軸にて光電子増倍管に導入し、計測することでガスの高感度検出(サブppbレベル)を可能とした。なお、将来的には複数の蛍光試料を同時検出する事も可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に沿って研究を推進し、結果的に当初想定された成果が得られサブppbレベルのガス検出の見通しを得た。セルの構造に関しては、当初単一の材料で構成する予定であったが、この方法ではガスの取り込みや反応生成物の除去に課題があり、二つの材料を用いることで解決した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発したフローセル構造を中心に、高感度なガスセンサの可能性について検討する。反応系の改良では、FALDHの反応生成物として、NADHと同時に1分子のギ酸が生ずる点に注目し、これをギ酸脱水素酵素にて触媒することで、更に1分子のNADHを生成する。つまり、この複合酵素系にて、1分子のホルムアルデヒドに対して最大2分子のNADHが生成し感度の向上を図る。また本年度の研究を実施する過程で、NADHの高感度検出について、電極法を用いることで口腔内に含まれるいくつかの生体成分を計測のに有効であることがわかってきている。これについても今後基礎的な評価を加えることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末における生化学実験試薬の残量を鑑み、21,505円を次年度に使用することとした。この額については、上記推進方策に示したタンパク質試薬の購入に充当する。
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Research Products
(7 results)