2013 Fiscal Year Annual Research Report
超短時間蛍光寿命を指標とする植物生理活性度のレーザ遠隔計測法
Project/Area Number |
24656256
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
齊藤 保典 信州大学, 工学部, 教授 (40135166)
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Keywords | 植物計測 / 生理情報 / レーザ誘起蛍光 / 蛍光寿命 / ライダー / 遠隔計測 |
Research Abstract |
「超短時間蛍光寿命を指標とする植物生理活性度のレーザ遠隔計測法」の提案と実証試験を行った。 初年度は、当初課題である「短時間蛍光寿命が光合成活性度の情報を含むか?」の原理検証の室内実験を行った。「高速応答を有する短時間蛍光寿命計測装置」を構築し、実験室内にレッドロビン葉(水供給(コントロール)葉と水不足(ストレス)葉)を配置し、両者の蛍光寿命比較実験を行った。コントロール葉は一週間後も蛍光寿命に変化がなかったが、ストレス葉は4日目から蛍光寿命が長くなり、8日目では46%の増加となった。「短時間蛍光寿命が法合成活性度の情報を含む」ということを示すもので、本手法を用いて植物生理活性度情報の取得が可能である、事が実証された。 最終年度(二年目)は、蛍光寿命レーザ遠隔計測システムを構築し、植物葉の「水ストレス」実験、「塩ストレス」実験、「太陽照度変化の蛍光寿命への影響」について、屋外観測実験を行った。 水ストレス実験では、レッドロビンのコントロール葉とストレス葉を用いた。水ストレスが強くなるほど蛍光寿命が延びる結果となった。塩ストレス実験では、水耕栽培とLED照明による野菜栽培器で栽培したレタスのコントロール葉とストレス葉(塩水栽培)を用いた。蛍光寿命の両者の差は検出されなかった。サンプル葉が風の影響で数cm程度動く(しなる)ことが原因で、時間波形の信号積算処理により平均化されてしまったためと考えている。プラタナス樹木の日向葉と日陰葉を対象として、日照条件の違いが蛍光寿命に影響を及ぼすかの調査を行った。蛍光寿命は日向葉が常に長く、日照が最も強い午後一時付近で蛍光寿命が短くなるという結果を得た。 結論として、1)短時間蛍光寿命は植物の生理情報を含む、2)蛍光寿命への影響の程度は生育ストレスにより異なる、3)日照条件により蛍光寿命が変化する、が得られた。
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