2013 Fiscal Year Research-status Report
離散事象システムの定量的スーパバイザ制御理論の創成とその工学的応用
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24656262
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
潮 俊光 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30184998)
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Keywords | 制御工学 / システム工学 / 離散事象システム / スーパバイザ制御 |
Research Abstract |
昨年度提案した定量的スーパバイザ制御には一般に最大許容なスーパバイザが存在しないという問題点があった.平均利得は最適であるが,許容される制御パターンがより大きくなるスーパバイザの無限列が存在するという性質が,その本質的な原因である.そこで,本年度は,スーパバイザの状態遷移に制約をつけた限定したクラスの中で最大許容なスーパバイザが存在し,それを計算するアルゴリズムを提案した. さらに,前安定化問題(prestabilizable problem)を検討した.前安定化フィードバックを求める従来のアルゴリズムよりも効率の良いアルゴリズムを提案した.各状態において不可制御事象による遷移の個数を初期値とするdegreeという変数を導入し,確実に前安定化できると判定された遷移の数をdegreeから減算するというアイデアを用いることで,計算量の削減に成功した.さらに,数値実験によりその有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究において,制御パターンが最大許容となるという意味で最適なスーパバイザが存在しないことが判明し,あるクラスのスーパバイザに限定することで最適なスーパバイザを求めることができ,この問題を完全に解決することができた. 次の研究課題として取り上げた前安定化問題においては,従来のアルゴリズムよりも効率的なアルゴリズムを見つけることができ,これは,予想していない結果であった.一方で,そのアルゴリズムの検討のために時間を取ったために,コストの最適化も考慮した前安定化制御について検討が次年度の課題として残されてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,前安定化問題を解くアルゴリズムを拡張して,安定化問題を解く効率的なアルゴリズムを求める.次に,最適安定化制御問題を解決する.その結果を踏まえて,部分観測の下での最適スーパバイザ制御,複数のスーパバイザによる定量的分散スーパバイザ制御などへの拡張を検討していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
定量的スーパバイザに関する研究成果をまとめて投稿した論文の査読結果がまだ出ておらず,その論文の別刷り代が執行されなかった.また,国際会議への投稿が遅れており,その出張費,参加費なども未執行となった. 投稿中の論文が採択されたときの別刷り代,国際会議への出張,参加費などに使用する予定である.
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