2014 Fiscal Year Research-status Report
離散事象システムの定量的スーパバイザ制御理論の創成とその工学的応用
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24656262
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
潮 俊光 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30184998)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 制御工学 / システム工学 / 離散事象システム / ゲームオートマトン / 最適制御 / 線形時相論理 / 人間機械系 / オートメーションサプライズ |
Outline of Annual Research Achievements |
重み付オートマトンでモデル化された離散事象システムにおいて,出力状態と出力事象が観測できる部分観測の場合を考えた.初期状態と目標状態が与えられたとき,最悪コストを最小化するように許容する可制御事象を観測される状態と事象から決定する制御器の構成方法を提案した.一般に制御器の構成アルゴリズムはNP困難であるが,可制御事象に関してある条件が成り立つとき,多項式オーダーで制御器を計算するアルゴリズムを求めた. 事象が完全に観測できる完全観測の場合を考えた.線形時相論理で記述された制御仕様を満たすという条件のもとで平均ペイオフの最悪値を最適にするような制御器の設計法を提案した.振る舞いが線形時相論理式を充足するかどうかを判定できるラビンオートマトンと制御対象のオートマトンとの合成オートマトンに対して,ゲーム理論的アプローチを用いて最適制御器を求めた.さらに,重みが未知の場合に,強化学習法を利用して,最適な制御器を適応的に求める方法を提案した. 人間機械系において,機械の物理的ふるまいの時間的な性質を表すために,ハイブリッドオートマトンでモデル化し,そこから時間情報をもつ定量的トランジションシステムを求め,オートメーションサプライズの発生の有無を検証する方法を提案した.時間という定量的な情報を扱うために,ユーザが持つ機械に関する情報と実際の機械のふるまいとの差がある程度異なっていてもユーザは操作できるが,ある程度離れてしまうとオートメーションサプライズが発生する.このことを形式的に表すために,オートメーションサプライズの一種であるモードコンフュージョンは近似交代模倣関係,ブロッキング状態は近似模倣関係を用いて,それぞれを特徴づけた.今後は,この関係を利用して,オートメーションサプライズの発生を回避するための警報器の設計法を開発する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論昨年度の研究成果を論文誌に投稿しているが,2回修正し,現在査読中であるなど,論文の発表が遅れている.また,部分観測の場合には,計算量がNP困難となることから,効率的に解ける条件の導出に時間がかかってしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
部分観測の場合には,制御器の存在条件などの基礎理論は完成しているが,効率的に解けるシステムのクラスがかなり限られているので,その拡張を検討する.また,現在は集中型の制御器を仮定しているが,分散型,モジュール型などの他の構成方法についても検討する.
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Causes of Carryover |
研究成果を国際会議にて発表する予定であったが,論文執筆の準備が遅れて,平成27年度の国際会議での発表に変更したため,未使用額が生じた.また,研究成果を論文にまとめて投稿中であるが,査読が遅れており,平成26年度中には公表が難しくなったことにより,論文別刷り代などの公表にかかる費用が未使用となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議での発表のための旅費と論文の公表に係る経費に未使用額を充てることとしたい.また,平成26年度に得られた研究成果をさらに発展させられる可能性があるので,国際会議の論文集などの必要資料の購入経費にも充てることとしたい.
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Research Products
(2 results)