2015 Fiscal Year Annual Research Report
離散事象システムの定量的スーパバイザ制御理論の創成とその工学的応用
Project/Area Number |
24656262
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
潮 俊光 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30184998)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | システム制御工学 / 離散事象システム / スーパバイザ制御 / 最適制御 / 安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
状態遷移に対してコストを与えた重み付きオートマトンでモデル化される定量的離散事象システムに対する最適スーパバイザ制御法を開発した.主な研究成果以下の4つである. (1)生成可能な振る舞いに対してコストの平均の最悪値を最適にするような最適スーパバイザの構成法を開発した.まず,平均コストに基づく,2人ターンベーストゲームに変換して,その最適戦略から最小制約最適スーパバイザを構成する方法を示した. (2)時相論理で与えられた定性的仕様を満たしつつ,最悪平均コストを最適にする制御法を開発した.与えられた仕様を満たすラビンオートマトンを構成し,それと制御対象のプロダクトオートマトンを求め,そのオートマトンの振る舞いを表現した木を用いて最適制御器を設計した.平成27年度には,この木の構成を効率化し,計算量の削減ができた.さらに,自動搬送車の制御問題に応用した.また,システムのコストがわからないときに,強化学習を用いて最適制御器の設計を行う方法を開発した.許容する最小制約事象集合の学習とその事象集合の中から最適な事象を学習するという2種類の学習を同時に行うことで,最適制御器の学習ができることを示した. (3)目標状態の集合が与えられたとき,初期状態から目標状態まで最適なコストで到達できる最適安定化スーパバイザ制御法を開発した.現在の状態と生起する事象の観測がすべてできる場合(完全観測)とできない場合(部分観測)について最適制御器の設計法を開発した.完全観測の場合には計算量は多項式オーダであるが,部分観測の場合には一般にそうはならない.多項式オーダで制御器が計算できる部分観測なシステムのクラスを明らかにした. (4)平成27年度に分散事象駆動型制御システムを対象に,観測されない状態を観測器で推定して,閉ループシステムがinput-to-state 安定となるような事象の生起条件を明らかにした.
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