2013 Fiscal Year Annual Research Report
床版耐疲労性と温度応力低減における膨張材-軽量骨材併用効果の検証とその戦略的活用
Project/Area Number |
24656267
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸 利治 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90251339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 雄也 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (40624531)
|
Keywords | コンクリート / 床版 / 疲労 / 温度応力 / 膨張材 / 軽量骨材 |
Research Abstract |
コンクリート部材にケミカルプレストレスの導入を目的として膨張材を単独使用した場合には、導入したケミカルプレストレスが高温履歴により消失する一方で、軽量骨材を併用することにより、コンクリートの温度応力が緩和される現象について検討を行った。 まず、養生温度を実験水準として、膨張材を使用した鉄筋コンクリート供試体の一軸引張試験を実施し、高温履歴を受けた供試体ではひび割れ発生応力が低下することを確認した。また、標準添加量の膨張材を使用した場合、常温養生では膨張コンクリートのひび割れ発生応力は膨張材無添加の場合と同程度だったが、高温履歴を与えた場合には無添加の場合を下回った。 既往の研究では、膨張材の使用による線膨張係数は小さくなるとする報告があったが、本研究の予備実験では、逆に膨張材による反応生成物の線膨張係数が大きい可能性が示唆された。そこで系統的な検討を行った結果、膨張材を使用した場合には若材齢では膨張材添加量の増加と共に線膨張係数が増加する一方で、材齢28日では逆に減少するという特異な傾向を確認した。また、膨張材の添加による線膨張係数の増加は、低熱ポルトランドセメントの使用により抑制できることを確認した。さらに、軽量粗骨材単独の線膨張係数を測定した結果、普通骨材の約半分であることを確認した。 予備実験において膨張材と軽量骨材を併用した場合に骨材界面の剥離部分に析出物が生成してケミカルプレストレスを保持する機構の存在が浮上したが、マイクロスコープを用いた詳細目視観察を行った結果、そのような生成現象はほとんど確認されなかった。 以上の検討により、膨張材を使用した場合の若材齢における線膨張係数の増加と、軽量骨材の小さな線膨張係数が両者の併用効果を考える上での重要な因子であると推定されたが、その機構の同定までには至らなかった。
|