2012 Fiscal Year Research-status Report
鋼橋の長寿命化に向けた溶接継手の超高サイクル疲労強度評価技術の開発
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24656277
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
判治 剛 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80452209)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 超高サイクル疲労 / 溶接継手 / 鋼橋 |
Research Abstract |
本研究は,鋼橋の溶接継手を対象とし,これまで想定されてきた疲労寿命より1オーダー以上多い寿命域である「超高サイクル疲労域」における疲労強度評価技術を開発することを目的としている. まず超高サイクル疲労域における試験データを蓄積するために必要不可欠である,短時間で実施可能な試験システムを構築した.載荷装置には偏心おもりを内蔵したモーターを用い,モーターが高速回転する際に生じる振動を利用して溶接継手に繰り返し変形を与える試験システムとした.数十Hzまで回転可能なモーターを使用し,かつ載荷フレームや試験体と載荷装置との共振を抑える工夫を施すことで,通常の疲労試験の数倍程度の高速載荷ができるようになり,試験時間の大幅な短縮につながった. 次に鋼橋の溶接継手の例として荷重非伝達型十字溶接継手と面外ガセット溶接継手を用いて疲労試験を行い,超高サイクル疲労域における溶接継手の疲労強度および破壊形態の解明を試みた.十字継手に対して,現行の疲労設計指針で示されている疲労限以下の低応力範囲で実験を行ったが,現状では1億回を超えても疲労破壊は生じていない.今後は疲労限以下の応力範囲内で徐々に荷重を上げて試験を実施し,超高サイクル疲労域での応力範囲と疲労寿命の関係を明らかにする.得られた結果を基に,超高サイクル疲労域での溶接継手の疲労破壊発生条件を探るとともに,疲労強度評価法の提案へと結び付ける.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試験システムの構築に想定以上の時間がかかり,試験の実施がやや遅れているのが現状である.数十Hzでの載荷を行う際にクリアすべき課題は,試験フレームおよび試験体と載荷装置の共振を避けるということであるが,この点を解決するのに予想より長い時間を要したためである.しかしながら,溶接継手の超高サイクル疲労挙動を解明するためには高速載荷が可能な本試験システムは欠かすことができないものであり,今年度にそれを確実に構築できて,今後は順調に実験を遂行できると見込まれることから,研究上の遅れは十分に取り戻せるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下の流れで進める. 1)荷重非伝達型十字溶接継手と面外ガセット溶接継手を用いて疲労試験を行い,超高サイクル疲労域における試験データを蓄積し,溶接継手の疲労強度および破壊形態の解明へとつなげる.さらにき裂発生起点を明確にし,破壊メカニズムを明らかにする. 2)超高サイクル疲労域における疲労破壊発生条件を明示する.これが超高サイクル疲労照査における一つの指標となる. 3)以上の研究成果と,過去の研究にて鋼素材に対して示されている知見,および現行の疲労設計指針の考え方を統合して,溶接継手に対する超高サイクル疲労設計法を開発する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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