2012 Fiscal Year Research-status Report
プラズマアクチュエータを用いた風による橋梁振動の制振方法に関する研究
Project/Area Number |
24656280
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 一俊 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20609466)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマアクチュエータ / 風洞試験 / 制振 / 橋梁 / 主桁 / 主塔 / 三分力試験 / 流れの可視化 |
Research Abstract |
1.具体的な内容 プラズマアクチュエータによる橋梁の空力振動抑制法の確立に向け,本研究では桁高・桁幅比3の矩形断面を用い,剥離抑制効果を高めるプラズマアクチュエータの構成・駆動・位置に関して検討することによる気流制御の高効率化を目的として研究を行った.本研究で得られた結論を以下に示す.(1)プラズマアクチュエータによって生じる誘起流速を大きくする実験条件は,印加電圧±4kV,周波数4kHz,誘電体枚数4枚(誘電体厚さ:0.03×4=0.12mm)が最適である.(2)電源出力下における剥離抑制効果を高める上側電極幅および下側電極幅の最適値はそれぞれ5mm,10mmであり,プラズマ発生によって生じる誘起流れは1.4m/s程度であることがわかった.(3)揚力の低減を抑制するための駆動条件は,迎角0degにおいては断続的に駆動することで揚力を向上させることができるが,迎角が0degを上回る場合は連続駆動した場合が最も揚力を大きく増加させることができる.また迎角によって揚力を最大値にとるDuty比とSt数の組み合わせは異なることがわかった.(4)プラズマアクチュエータの設置位置に関しては,可能な限り剥離点付近の上流側にプラズマアクチュエータを取り付け,主流方向に風の流れを誘起することで剥離抑制効果が最も高く発揮される.プラズマアクチュエータの設置位置や向きを変えることで,流れを攪乱させる効果が異なる.なお,風洞試験のうち,流れの可視化と三分力試験は実施することができたが,バネ支持試験は実施できなかった.これはプラズマアクチュエータを駆動させて風洞試験を行う風洞風速が1~2m/sと低風速であることが理由である. 2.意義・重要性 プラズマアクチュエータを用いることによって,橋梁断面周りの気流制御を行うことができた.したがって,本手法によって橋梁橋桁の風による振動を制御することが可能である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の風による橋梁振動の制振方法とは制振メカニズムが異なり,また構造的にも従来と異なる新しい方法としてプラズマアクチュエータを用いた制振手法を提案し,この手法の妥当性を確認した上で実橋に適用する技術を構築することが研究の最終目的である.平成24年度はそのための挑戦的萌芽研究と位置付けて,プラズマアクチュエータを橋梁基本断面に適用した各種風洞試験を行い,本手法の妥当性を検証する. 平成24年度の研究成果として,プラズマアクチュエータを用いた制振手法によって橋梁橋桁の風による振動を制御することが可能であることを明らかしたことが挙げられる.よって,平成24年度の研究目的は,ほぼ達成することができたと考えられる.ただし,先述した理由により,当初予定していたバネ支持試験は行うことができなかったため,「おおむね順調に進展している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
初めに,平成24年度に揚力計測用に製作した計測システムが,予想以上の高い精度を有していることが風洞試験の結果判明したので,橋梁主桁を対象とした揚力計測試験を行う予定である.その次に当初の計画通り,橋梁主塔断面を検討対象とした研究を行う予定である.とくに定量的な制御効果を把握するため,揚力計測を重点的に行う.プラズマアクチュエータの効果を認められた橋梁主塔断面について,流れの可視化試験を行い,制御効果を考察する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費 橋梁主塔模型の製作費,プラズマアクチュエータの銅箔テープ,ポリイミドテープ,PIV計測用パソコン(平成24年度の実験終了直後に故障)等 1300千円 旅費 土木学会全国大会出張等 500千円 その他 学会参加費,計測機修理費用,報告書印刷費用等100千円 合計 1900千円
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