2012 Fiscal Year Research-status Report
雪上を長距離滑走した土砂崩落現象のメカニズムと発生条件の解明
Project/Area Number |
24656281
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 聡 北見工業大学, 工学部, 教授 (00174673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 貴之 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20310964)
中村 大 北見工業大学, 工学部, 准教授 (90301978)
山崎 新太郎 北見工業大学, 工学部, 助教 (40584602)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地すべり / 崩壊 / 雪崩 / 豪雪地帯 / 地震災害 / 防災 |
Research Abstract |
2011年3月12日に長野県栄村を震源として発生した震度6強の地震において,ほとんど乾燥した小規模土砂崩壊が雪上を長距離滑走し,破壊的な災害となった例が確認された. 初年度(平成24年度)は,まず始めに崩壊土砂の長距離移動が確認された災害発生域の複数地点を再び調査し,地形・地質的な共通点等について再確認した.また,雪上に土砂を流下させることを想定して傾斜土層を作成し,積雪強度や傾斜角,温度を変えた実験を行った. 現地調査の結果では,新潟県および長野県の防災担当者および平成23年3月12日の災害発生直後に網羅的に調査を行った技術者にもヒアリングを実施し,現象の全体像の解明を行うとともに,複数箇所のデータを取得した.その結果,被災域の複数箇所で,雪上を滑走する移動現象が生じたことも明らかになったが一方で,その流動性は規模に大きく依存する可能性が高いことも明らかなった.それらの結果は,Yamasaki & Nagata (2012)などに結実し,地球惑星科学連合大会,雪氷研究大会,地震時地すべり国際会議等にて発表を行った. また,傾斜土層による実験は現在も進行中であるが,現地の観察結果と相違するデータも得られ,現在のところ十分な解釈が得られていないため,今後も引き続き実験を行う予定である.一方で,土砂の長距離流下条件には温度環境や積雪履歴に依存する積雪層強度が大きく働いている可能性を示唆しているという結果も得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の想定以上に現象の全体像を把握する情報が多数得られているために,研究期間内に多くの成果を公表できる公算が高まったため,区分を(1)とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては,引き続き傾斜土層での実験を継続すると共に,その知見を元に研究グループ全員と共に再度現地調査を実施する予定である.これには再度の地形調査も含まれる.また,これにより,現地データと傾斜土層で得られたデータとの相違点を解明し,発生条件の詳細な解明に取り組んでいく計画である.特に,積雪層の性質は日本全国で異なり,積雪層の強度,平滑性により雪上での土砂の流動性が異なっていると考えられるためにこのデータも全国的に引き続き調査をしていく予定である.傾斜土層での実験成果は現時点でデータを整理中であるが,引き続き得られたデータからメ カニズムに関わる点を整理していくとともに追加実験を冬季にかけて行う予定である.本年度はその論文の公表も予定している他,さらに北海道内を中心に積雪層の強度性状に関するデータの収集を開始し,北海道内でのリスクマップづくりの足がかりを得たいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)