2013 Fiscal Year Research-status Report
雪上を長距離滑走した土砂崩落現象のメカニズムと発生条件の解明
Project/Area Number |
24656281
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 聡 北見工業大学, 工学部, 教授 (00174673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 貴之 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20310964)
中村 大 北見工業大学, 工学部, 准教授 (90301978)
山崎 新太郎 北見工業大学, 工学部, 助教 (40584602)
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Keywords | 地すべり / 崩壊 / 雪崩 / 豪雪地域 / 地震災害 / 防災 |
Research Abstract |
当該年度は昨年に引き続き雪上に土砂を流下させることを想定して傾斜土層を作成し,実験を行った.さらに北海道内各地において雪上を土砂が長距離移動するような類似現象が発生していないか,北海道北部および東部の山間地を調査した.この調査では,北海道内においても,雪上を滑走する土砂現象が発生していることを確認した.しかし,長野北部地震で発生したような低い摩擦角を持つ長距離の雪上土砂移動現象は発見できなかった.北海道各地で発見された雪上の土砂移動現象は,みかけの摩擦角が大きく,斜面途中で止まっているものが多いが,それらの滑走面にある雪は長野県や新潟県地域と比較して性質が異なる.それに着目して雪質による雪上の岩石の滑走距離についても実験を行った.これによって得られたことは,比較的固く締まった雪上では長距離滑走が発生し,柔らかい雪層では,通常の砂斜面よりも,むしろ滑りにくくなることである.この硬い雪面は雪と岩石の接触でも形成される可能性がある.つまり,雪上で長距離の土砂移動が発生するか否かは多分に積雪環境に依存することを示唆している.また雪と岩石の衝撃圧力の程度が非常に重要であると考えられるということは,野外での簡単な実験や現地観察の結果からも明らかになった.以上のような観察結果をまとめ,さらに2011年の長野北部地震で発生した現象も併せて考察しYamasaki et al. 2013などの誌上で研究結果を公表した.現在も土層実験は引き続き実施中であり,今後さらに詳しい発生条件に関する知見が得られるものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の想定以上に現象の全体像を把握する情報が多数得られているために,研究期間内に多くの成果を公表できる公算が高まったため,区分を(1)とした.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き傾斜土層での実験を継続すると共に,その知見を元に研究グループ全員と共に再度現地調査を実施する予定である.これは昨年度予定していたが実施ができなかった.これにより,現地データと傾斜土層で得られたデータとの相違点を解明し,発生条件の詳細な解明に取り組んでいく計画である.特に,積雪層の性質は日本全国で異なり,積雪層の強度,平滑性により雪上での土砂の流動性が異なっていると考えられるために,北海道内で得られたデータを元に全国で特に雪層に関して引き続き調査をしていく予定である.さらに,本年度は研究成果の取りまとめを行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入物品が予定よりも安価に購入できたため,少額の次年度使用額が生じた。 本年度は上記の方策に鑑み,第一に研究グループ構成員の現地調査旅費を計上し た.また,土層実験関連の消耗品などの予算を計上した.
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Research Products
(3 results)