2012 Fiscal Year Research-status Report
降雨に先立つ干ばつの影響を考慮した斜面崩壊予測モデルの構築
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24656282
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清田 隆 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70431814)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | スレーキング / 斜面崩壊 / 地盤災害 / 干ばつ / 豪雨 / 泥岩 / 堆積岩 / 一面せん断試験 |
Research Abstract |
本研究は降雨による地盤災害について、災害発生時の降雨強度だけでなく、その降雨に先立つ干ばつの影響に着目して、地盤の強度変形特性を検討するものである。世界に広く分布し、自然斜面や河川堤防の材料にもなる堆積岩は、乾燥と湿潤の繰返しを受けて風化が促進される。また、湿潤時における岩の風化(強度低下)の程度は、直前の岩の含水状態に依存することが知られており、本研究ではこの事象を実験・現場調査により実証することを目的としている。平成24年度は、降雨に先立つ干ばつの影響で生じた地盤災害の被災地において採取した原位置試料による室内試験を実施した。また、いくつかの被災事例を調査し、降雨データの分析を行った。 原位置試料による室内試験により、実際の斜面を構成する地盤に繰返し生じ得る乾燥と湿潤状態を再現して、供試体の強度変形特性を調査した。一連の実験により、所定のせん断応力を与えた状態における浸水時のクリープ変形量は、供試体の初期含水比およびせん断応力比に大きく依存することが分かった。特に初期含水比については、最初の飽和時(すなわち初期含水比ゼロ)のクリープ変形量は、2回目以降の値と比較して非常に大きいことが実験により示された。更に、単調せん断載荷のピーク強度は、乾燥と湿潤の繰り返し回数の増加により、僅かではあるが徐々に低下する傾向が確認された。この傾向は、供試体のスレーキング指数などにより変化することが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地盤材料の風化を扱う室内実験は、通常非常に時間がかかり、実施も困難であるが、本研究では効率的に作業を進めている。また、300箇所の被災事例を収集し、降雨データの分析も随時行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回実験で用いた供試体のスレーキング指数は"1"であり、乾燥と湿潤によるスレーキングの程度は比較的小さい。したがって、様々な状態の地盤に適用できるモデル・チャートを構築するため、異なるスレーキング指数を有する地盤材料による実験を進める。また、降雨データの分析では、地盤の乾燥状態を適切に表現するパラメータの提案を行う。更に、盛土のスレーキングに伴う安定性の低下に対して、補強材による盛土補強の有効性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(10 results)