2013 Fiscal Year Research-status Report
たたき工法による常温固化技術を用いた安心で安全な地盤材料づくり
Project/Area Number |
24656284
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹下 祐二 岡山大学, その他の研究科, 教授 (90188178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 正司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10204471)
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Keywords | 土質安定処理 / たたき土 / 消石灰 |
Research Abstract |
本研究では,日本古来の伝統的な左官技術として知られている「たたき工法」に着想を得て,石灰系微粉体による常温固化技術を用いた安心・安全な地盤材料の開発を行う。天然の地盤材料には見られない付加価値と環境保全に係わる機能を有する地盤材料の実用化および土質安定処理技術の確立が最終目標であり,環境にやさしい地盤づくりへの貢献が期待される。H25年度の研究実績は以下のようにまとめられる。 研究内容:たたき土における養生方法の違い,養生期間,初期含水比が強度に及ぼす影響について検討した.暴露養生は乾燥密度ρdが1.5g/cm3と1.7g/cm3の状態に対して,12月初旬からと1月末の気象環境下で行った.まさ土母材に消石灰、塩を添加し,含水比,養生期間,養生方法の異なるたたき土試料を作製し,一軸圧縮試験を行った. 研究成果:(1)暴露試験の場合,強度は室内養生の場合より増加する傾向にあるが,気象環境が安定しないために,強度発現傾向に規則性が見られなかった.(2)室内養生では,養生期間が長くなるほど,強度は増加傾向を示した.養生期間が7日から14日の場合に比べて14日から28日の場合は,強度の増加率が減少していることから,養生期間がある一定を超えると強度増加はみられなくなると考えられる.(3)初期含水比wが強度に与える影響に関しては,乾燥密度によって最も強度が高くなる初期含水比が異なることが分かった.今回の実験では,ρd=1.5g/cm3の場合はw=12%,またρd=1.7g/cm3の場合ではw=10%で一軸圧縮強度がピークなっていることが多くみられる.また,昨年度の結果では,ρd=1.8g/cm3の場合にw=8%でピークになっていることから,乾燥密度が低ければ化学反応の影響を受けやすい傾向があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「たたき土」の地盤工学的メカニズムの解明のため,たたき土における養生方法の違い,養生期間,初期含水比が強度に及ぼす影響について検討した.この際,土の密度増加による強度発現の影響を除くために,密度一定の条件下で,たたき土を作成し,一軸圧縮試験を行うことができた。その結果,適切な試料配合設計案を作成し,誰でも簡単に作成でき,短期間で実用的な強度を有する低環境負荷の地盤材料づくりについて,研究の方向性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)たたき土の施工方法の改善提案:たたき土の施工労力の軽減と施工品質の向上を目的として提案している「たたき土キューブ」において,さらなる付加価値を与えること検討し,種々の配合条件のもとで試作を行う。 (2)たたき土のタイムカプセル化:たたき土の耐久性を探るには,長期にわたって継続的な強度実験調査を進める必要があると考えられる。そこで,「たたき土キューブ」を観測ヤードに設置し,将来(3年および5年後程度)の室内試験に備えてタイムカプセル化することを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試験装置の設計に時間を要し,年度内の完成が困難であったため。 室内土質試験に必要な消耗品として,たたき土の作成に必要な試験材料や試験装置の試作費用等を計上する。また,研究分担者との研究打ち合わせ,研究資料の収集,研究成果の発表のために旅費を計上する。
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