2013 Fiscal Year Research-status Report
水食と風食の連動による土砂侵食・流出機構の解明とリスク評価への展開
Project/Area Number |
24656287
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安福 規之 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20166523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶺 聖 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60248474)
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Keywords | 風食・水食 / 土砂流出・侵食 / 不飽和浸透 / 適応策 / 国際情報交換(モンゴル) / 気候変動 |
Research Abstract |
本研究では、気候変動に伴って、気象特性の形態が大きく変化することを想定し、沖縄で顕在化している赤土等の土砂流出・侵食問題や風食により砂漠化が進行している大地に焦点をあて、水食と風食の連動による侵食機構を把握し、現地での検証実験を踏まえ,土砂流出・侵食を伴う災害に対する適応策を実施するためのシナリオを提示することを目指している。その中で、平成25年度に実施した研究の成果を項目ごとに以下に示す。 1.風食と水食を連動させた土砂流出・侵食特性:1)過去の研究を整理し、現状の把握に努めた。2)室内模型実験の実施:水食と風食の連動による流出・侵食特性を把握するための風洞型の模型チャンバーを改善し,より安定した風速条件で実験が行える環境を整えた。また,現有する土槽を改良し,土中のサクションと水分量をリアルタイムで計測できる環境を整備した。整備した2種類の実験装置を活かした体系的な実験を開始した。3)影響要因に着目した土砂流出特性の明確化:砂漠土(砂質土)と赤土(粘性土)を対象とした実験を行い,砂質土土槽では,風食抵抗性に着目し,侵食量の経時変化,風速と土壌損失量の関係、含水比-土壌損失量の関係を定量的に評価するための実験を重ねた。また,粘性土では,降雨強さと降雨のインターバルが侵食特性に与える影響を調べた。土粒子径と含水状態,締固め度に関係した水食・風食抵抗性に関する基礎的なデータの取得を開始した。 2.統計的・力学的手法を組み合わせた土砂流出・侵食量予測モデルの構築:昨年度,土砂流出限界の土粒子径を微小粒子間の力学的なつり合いに基づいて導いた提案手法の妥当性を検証するための現地実験を行い,今後,改善すべき事項を整理できた。 3.50-100年後の気象・ 社会経済シナリオの沖縄地区へのダウンサイジング:特に降雨特性について分析し、将来の赤土流出特性にどのような影響を与えるのかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究実施計画の中で,1)風食と水食を連動させた土砂流出・侵食特性の解明のための水理学的および地盤力学的アプローチでの方法に関する現状の把握は概ね予定通り行えている。その上で,侵食量の新たな予測手法の提案を次年度検討したい,2)室内模型実験の実施については,現有する降雨装置を改良し,水食と風食の連動による流出・侵食特性を把握するための風洞型の模型チャンバーの機能の評価と改善が概ね完了したことから,来年度,実験を体系立てて更なるデータを取得することを目指している。3)影響要因に着目した土砂流出特性の明確化については,本格的な実験が今後求められること,また,統計的・力学的手法を組み合わせた土砂流出・侵食量予測モデルの構築については,表層地盤の粒状性を統計手法を用いて評価することが求められること,それを活かして風食の影響をどのように取り込むかは,来年度の課題としたことなどを勘案し,「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として、昨年同様,以下の点に留意して進めていきたいと考えている。まず,1.昨年度概ね順調に進展がみられることから、当初の研究計画に沿って研究を実施することを基本とする。ついで,2.昨年度,改善し機能強化した風洞実験装置を活用した本格的な実験を継続する。特に,砂質系と粘土系地盤の含水比-移動限界風速に着目して風食と水食の連動性が把握できるような系統的な実験を更に推進したい。また,3.水理学的なアプローチと地盤工学的なアプローチによる研究事例をベースにして,新たな予測モデルの考え方を示したい。加えて,4.昨年同様,沖縄県の技術者およびモンゴルの研究者と連携して,現地での土砂流出・侵食特性の現状を把握するための情報を収集し,課題設定の合理性などを検証したい。さらに,5.既に提案している土砂流出予測のための統計的・力学的手法を発展させて風食・水食の影響が面的に反映できるよう努める。
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Research Products
(4 results)