2012 Fiscal Year Research-status Report
セメント・石灰による改良粘性土の工学的性質における微生物の影響
Project/Area Number |
24656288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
柴 錦春 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20284614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 剛徳 佐賀大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20295033)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 尿素分解菌 / 地盤改良 |
Research Abstract |
平成25年度は尿素分解菌(ウレアーゼ菌)の培養、セメント・石灰が混合した高pH溶液中の菌の生存状況の究明、ウレアーゼの炭酸カルシウム(CaCO3)の沈降促進効果の確認を実験的に行った。ウレアーゼの代謝活動によりアンモニアが発生するので、溶液中のアンモニア濃度を測定してウレアーゼの代謝活動の活発化を評価した。 まず自然有明粘土中に大量な尿素分解菌が存在していないことを試験的に確認できた。次にナタマメ粉末と尿素を用いて、ウレアーゼの培養を行い成功した。1mol/lの尿素水溶液中、ウレアーゼ菌は約20日間代謝・繁殖活動が増え続け、その後減少傾向に入り、約10日後栄養がなくなり死亡した。また、ウレアーゼの代謝活動により溶液のpH値が9.5 – 10まで上がった。 続けて乾燥重量5%の石灰を混合した粘性土と乾燥重量10%のセメントを混合した粘性土を用いて、一軸圧縮試験の供試体を作製し、それぞれを蒸留水とウレアーゼ菌・尿素を含む溶液中に養生した。溶液中アンモニア濃度の変化および経過時間1、2、4週間の試料の一軸圧縮強度を測定し、容器底部における沈殿物の状況を観測した。この試験から、石灰あるいはセメントを混合した土試料を入れた溶液中にウレアーゼ菌が生存でき、CaCO3の沈降促進効果があることが分かった。しかし、ウレアーゼ菌・尿素を含む溶液中の試料の圧縮強度は蒸留水中のものより大きく低下した。その理由は尿素がポソラン反応を遅らせたためと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に三つの課題を計画した。ほぼ計画通りに研究が進んだと判断する。 (1)尿素分解菌の検出について、有明粘土中に大量な尿素分解菌が存在していないことが分かり、代わりにナタマメ粉末を用いたウレアーゼ菌の培養に成功した。 (2)セメント・石灰を添加した溶液中のウレアーゼ菌の生存・繁殖状況について、pH値が10ぐらいの溶液中でもウレアーゼ菌が生存・繁殖できることが確認できた。 (3)ウレアーゼ菌のCaCO3の沈降促進効果について、ウレアーゼ菌と尿素を加えた溶液中に石灰あるいはセメントを混合した土を入れた場合、容器底部に白い沈殿物が観測でき、CaCO3の沈降促進効果があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究成果により、尿素の添加で石灰あるいはセメントによるポソラン反応を遅らせることが分かった。平成25年度の研究は以下の二つの方面で進めたい。 (1)セメントあるいは石灰を混合したポソラン反応が終わっていない粘性土に対して、急結剤の併用によってその強度におけるウレアーゼ菌の影響を検討する。 (2)セメントあるいは石灰による改良した養生4週間(主なポソラン反応が終了)の試料を蒸留水とウレアーゼ菌・尿素を加えた溶液中にそれぞれ養生し、その長期強度におけるアーゼ菌の効果(影響)を究明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に実験用消耗品、旅費と謝金三つのカテゴリーで研究費を使用する。平成24年度の繰越金を含めると86万の直接経費がある。 消耗費:40万円 旅費:20万円 謝金:20万円 その他:6万円
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